金銀小説☆拍手☆

□拍手(2012年9月16日まで)
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男×男(高校生)

ポツリポツリ……と、下校時間になって雨が降り出した

(あぁ〜あ…降ってきちゃったよ)

ディアッカは学校の玄関先でどんよりと曇った雨雲を見上げた

傘は無い

学園の寮まで走れば3分

(仕方ない…走るか!)……と意を決してカバンを小脇に抱えた、その時


「入るか?」

「あっ……イザ傘持ってたの…」

用意周到なイザークは手にした濃い青色の傘を広げた

「わぁーい!イザークと相合い傘だね」

「フンッ…貴様が雨で濡れると、部屋が汚れるからな…」

イザークから傘を受け取ると少し身長の高いディアッカが傘をさす

「えへへ〜」

ディアッカがニヤニヤする

「気持ち悪い顔するな…」

イザークは怪訝に顔をしかめた

ポタポタと雨は降り続く

寮までは歩けば僅かな距離
何故だか、歩くスピードはのんびりと遅く、静かな時間が2人を包む

「あっ…イザーク見てみて!紫陽花だよ」

「綺麗に咲いてるな…」


ディアッカとイザークは道の脇に満開に咲いた紫陽花に目を奪われた

「雨…も…いいな」

イザークは紫陽花の花にそっと触れる
サラリと流れ落ちた銀の髪をイザークは無意識に耳へ掛けた
白い頬、耳、そして、首筋が露わになる

僅かに傘からはみ出た髪を雨は濡らしてゆく

イザークの銀の髪が水滴でキラキラと輝いた

「……本当…綺麗」

ディアッカがイザークの肩をそっと引き寄せる

「え?ディ……?」


一瞬の出来事にイザークは目を見開いた

チュッ……
と、ディアッカの唇が頬に触れた


「ディアッカ!!誰かに見られたら!!」

「大丈夫だよ…傘で誰も見えないよー」

ディアッカがニヤリと笑った

「イザークの横顔があまりに綺麗だったから、ついついキスしたくなっちゃった」

「ディアッカ〜〜〜〜」

イザークの顔が真っ赤になる

そんなイザークが誰よりも可愛いとディアッカは、ただ笑っていた


紫陽花と、相合い傘と、君の横顔

何て素敵な五月雨の午後


20120612

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