金銀小説☆Season☆

□2013年新年小説
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「もぉ…イザークったら…そんな格好じゃ風邪ひくよ………ちゃんと厚着しなきゃ」

「ん……」


玄関先で呼び止められたイザークはピタリと止まった

ディアッカはイザークの着ていたダッフルコートを脱がすと、羽毛の詰まったモコモコと暖かなダウンコートをイザークに羽織らせた


「この時期の夜は寒いんだから!風邪ひいちゃうよ…」

「わかってる……」

(全然わかってないじゃん…)

ディアッカは心の中で愚痴る

頭脳明晰で真面目なイザークだが、基本的生活能力がない

幼い頃からメイドや執事がいる生活に加え……最大の原因はディアッカの存在


幼い頃から…食事に洗濯に掃除…身の回りの支度……

それら殆どをディアッカが甲斐甲斐しく行っていた

それがイザークにとって当たり前の生活で……ディアッカにとっても世話を焼き続けている生活が当たり前の事になっていた

(まぁ……俺のせいでイザークが何もしないって分かってるんだけど……なぁ)

甘やかしてる過保護すぎる自覚はディアッカにあった

そんなイザークを見ると先ほどのダウンコートのファスナーを留めようと格闘している

基本不器用な彼

ディアッカがスッと手を出すとイザークはファスナーから手を離した

「ハイ出来た」

ディアッカはサッとコートのファスナーを上げた


ついでにマフラーもクルリと巻いてやる


「行こっか?」


外ではゴーンゴーンと荘厳な除夜の鐘の音が響く

間もなく12時を迎える


玄関の戸を開けるとピューっと冷たい風が吹いた

「寒っ」とディアッカが身震いする

イザークも寒そうにマフラーを口元まで手繰り上げた


「ハイ」

と……ディアッカは左手を差し出すとイザークは少し頬を朱に染めてその手を取った


「本当…寒いね〜」

そう言いながイザークの手を握り、指と指をしっかり結ぶと、自らのコートのポケットに手を突っ込んだ

「あったかい……」

イザークがポツリと呟く

ディアッカの体温が伝わる


テクテクと……真っ暗な夜道を2人は静かに歩く

除夜の鐘の音だけが当たりに響く


その時、繋いだイザークの手に力がこもりディアッカの手をギュッと握った


「ディアッカ……いつもありがとう………今年も………よろしくな………」


イザークがディアッカを見つめながらフワリと柔らかな笑みを浮かべた

12時を回り新年が始まる

(あぁ…本当…コイツには適わないなぁ……そんな風に言われたら……)



「こちらこそ…今年もよろしくね」


イザークを見つめニッコリと笑いディアッカも繋いだ手をさらに強く繋いだ


(今年も…また甘やかしちゃうんだろうなぁ)

そんな事をディアッカは考えながら2人は初詣に行くためにゆっくりと歩みを進めた



2012年ありがとう

2013年もよろしくお願いします!!
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