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□Immorality
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「ツナっ!ボール行ったぞ!」
「ぶふっ!」

前方から飛んできた硬いバスケットボールを、ツナは見事に顔面でキャッチした。そのままぶつかった勢いに負けて、べしゃりと床に倒れ込んでしまう。

「じ、十代目っ!?」
「大丈夫か!?ツナ!」

慌てて駆け寄ってくる二人の親友に、鼻を赤くしたツナは顔を押さえながら、内心は痛みに悶絶しながら、大丈夫だと無理に笑ってみせた。


勉強や運動、何をやらせてもダメダメなことで有名な少年、沢田綱吉。
今日も体育の授業中に、何度もすっ転んだりボールを身体にぶつけたりと、究極のドジっぷりを発揮していた。

だが、心配をしてくれる優しいクラスメイトは、獄寺や山本の二人くらいなもので……。


「お前のせいで負けたんだからな!」

授業が終わり、放課後になった体育館で、ツナはクラスの男子生徒達に囲まれていた。
運悪く、獄寺は用があるため先に帰り、山本も部活に行ってしまって、一人になったところを捕まったのだ。

複数の生徒に詰め寄られ睨まれて、ツナは泣きそうになりながら俯いた。

「ご、ごめん……」
(((うっ……!)))

クラスメイトが怖いからか、ボールに当たった所が痛むからか、幼い顔をきゅっと歪めて、大きな瞳をうるうるとさせているツナ。そんな姿に、男達も思わず息を詰める。

「と、とにかく!悪いと思ってんなら片付けと、あと倉庫の掃除もしろよなっ!」

男子生徒の一人が、顔を真っ赤にしてどもりながら、ツナに持っていた箒を渡す。男達は、何だか自分が悪いことをしているような気分になって、全員そそくさと体育館から出ていってしまった。

残されたツナは、しんと静まり返った体育館で、一人ため息を吐いたのだった。


***


「はぁ…ついてないなぁ……」

授業で使ったボールなどを全て片付けた後、ツナは体育館の裏手にある古い倉庫へとやってきた。ここは体育祭などの行事で使う道具が置いてある所で、普段の授業や部活動では使わないのだが、たまに清掃をするらしい。

少し埃っぽい、かび臭い倉庫の中で、ツナはどこから手を付けたもんかと悩んでいた。

「とりあえず、箒で掃くだけでいっか……」

薄暗い倉庫の奥まで入って、そう呟きながら箒を握りなおした時、

「んぐぅっ!?」

突然、後ろから伸びてきた何者かの手に口を塞がれて、ツナは身体を跳ねさせた。驚いて固まった手から箒が落ち、床に転がる音が響く。

「んんんっ!?んっ、んむぅっ!」

(なになになにっ!?だれっ…!?)

軽くパニックを起こすツナの口を塞いだまま、背後にいる人物はもう片方の手で抱き付いてくる。

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