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□Wicked boy
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お昼休み。待ちに待った昼食タイムが終われば、午後の授業が始まるまで少しの間まったりできる。生徒達にとっては、とても貴重な時間だ。


そう、貴重な……


「んっ、ぁっ…ちょっとまっ、て…やまも、と……!」
「んー?ツナ、可愛い…」
「ぁっ…じゃなくて、待ってってば…!ッ、山本っ…!」
「んだよー、イイところなのに」

ツナが抗議の声を上げれば、彼の細い首筋に顔を埋めていた山本が不満そうな表情をする。

「何だよじゃないよっ!ここ、学校!しかも外だし!」

良く晴れた青空の下、お昼休みも終わりに近付いた屋上で、ツナは山本に押し倒されていた。身体の下には太陽の光で暖められた硬いコンクリート。目の前には空を背に自分を見下ろしてくる親友の姿。

暑くも寒くもない過ごしやすいこの季節、せっかく良い天気なので、屋上でお昼ご飯を食べることになったのだが……。

先ほどまで「風が気持ち良いねー」とか「のどかだなー」とか言ってのんびりとお弁当を食べていたのに、なぜこんな状態になったのか。

ツナが必死に山本を押し退けようとすると、黒髪の爽やかスポーツ少年は、ちょっとムッとしたように唇を尖らせた。

「だぁってさ、やっと二人っきりになれたんだぜ?恋人とエッチなことしたいって思うのはトーゼンだろ?」
「だからって、こんな所で……!」

顔を近付けてさらっと言う山本に、ツナは真っ赤になりながら口籠もる。

そう、周りには言っていないが(言わなくても気付いている人間はたくさんいると思うが)二人は恋人同士だ。
お互いの気持ちを伝え合い、晴れて付き合うことになって(することも一通りして)早数か月。

ラブラブな二人だったが、普段はなかなか二人っきりになれる時間がなかった。ツナの忠犬である獄寺を始め、彼の周りにはいつもたくさんの人間が集まって、恋人らしい時間を過ごすことがほとんどできないのだ。

もちろん山本は、皆から好かれ慕われるツナが大好きなのだが……もっと二人でデートしたり、イチャイチャしたり、あんなことやこんなこともしたい。

つまり、欲求不満だ。

そんな今日、偶然いつも一緒にいる獄寺がイタリアに帰省中で朝からいなかった。
放課後になってしまうと山本は部活だし、ツナも家でチビ達の相手で忙しい。だから、二人で一緒にいられるのは今しかない。

ただでさえ、以前そういう営みをしてからご無沙汰なのだ。可愛らしい恋人が隣にちょこんと座っているだけで、山本はもう我慢ができなかった。

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