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□Lesson:1
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それは、良く晴れたとある休日の昼下がりのこと。
「ようっ、お前達!ただいま!」
いつも何かと賑やかな沢田家の玄関が開かれて、一人の男が入ってきた。汚れたランニングシャツにつなぎ服。頭には工事用のヘルメットを被り、手には大きなツルハシを持っている。
沢田家の大黒柱……沢田家光だった。
「と、父さん…!?」
「まぁっ!あなた、いつ帰ったの?」
「急に休みが取れてな。連絡できなくてすまない、奈々……ツナ」
突然の主の帰りに酷く驚く息子と、驚きつつもとても喜ぶ妻。
「まぁまぁ大変!今日の晩ご飯はご馳走にしなくっちゃ!」
奈々はとても嬉しそうに、ウキウキと少し遠くにある大きなショッピングモールへ出かけていき、
それにちゃっかりと着いていく居候の面々。
「ちょ、母さん!?」
「ツナ、お父さんとお留守番よろしくね!」
こうして、一気に静かになった沢田家には、家光とその一人息子……沢田綱吉の二人が残されたのだった。
「ツナ、元気そうだな」
「……、別に……」
ニッカリと笑う家光に、ツナはぶっきらぼうに返す。普段家を空け、たまにフラリと帰ってくるお調子者の父親がどうにも苦手で、どのように接すれば良いのか分からないのだ。
すると、家光は少し寂しそうな表情をして、
「……すまんなツナ。いつも寂しい想いをさせて。こんな父親じゃ、嫌われるのも仕方ないが……」
「なっ、誰も嫌いなんて…ってか別に、寂しくなんか……!」
自嘲気味に笑う家光に、これじゃ自分だけが子どもっぽく意地を張っているみたいだ、とツナは内心もやもやする。
「……良いよ、もう……母さんすごく嬉しそうだし。母さんが幸せなら、それで良い」
「ツナっ…!」
「うわっ…!」
その言葉に、感動で涙を浮かべた家光が思いっきりツナに抱き付いた。体格が違いすぎて、ツナは家光の大きな身体にすっぽりと収まってしまう。
「ちょ、放っ……、ッ!」
暑苦しい!と離れようとしたら、ふわりと父親の香りに包まれて、ツナの身体がぴたりと固まった。たくましい胸や力強く抱き締めてくる腕に、不覚にもドキッとしてしてしまう。
(って、何考えるんだよ俺!男に…それも自分の父親に!)
一方の家光は、ツナの華奢な身体や白い肌、恥ずかしそうに頬を赤く染める姿に、これ以上ないほど欲情を煽られていた。
(……しばらく見ないうちに、また色っぽくなりやがって)
もともと母親似の可愛らしい容姿をしていたが、歳を重ねるごとに色香を増していく息子に、家光はとうの昔から親子とは別の想いを抱いていたのだ。