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□Little princess!
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「ちっちぇーし、今よりもふにふにしてるし。抱き心地も最高ー」
「ふわっ…!やまもっ……!」
ぎゅうぎゅう抱き付かれてツナがあたふたとする。十年後の山本は本当に大きくなっていて、たくましい腕に抱き込まれると、ちょっとドキドキしてしまった。
そしたら、それを物凄い勢いで引き剥がされた。
「この馬鹿!十代目が困ってらっしゃるだろうが!」
獄寺だった。さすが自称右腕だけのことはある。
だが、
「大丈夫ですか…?」
「っ……!」
優しく尋ねられて、元いた椅子にそっと座らせてくれて……その紳士のような振る舞いに、まるでお嬢様のような扱いに、ツナは思わず頬を染めた。
(って俺、何赤くなってんだよ!女の子じゃあるまいし!)
恥ずかしくなり、自分で自分に突っ込みを入れる。
そこへ、
「ほぉー、十年前の沢田はこんなに小さかったのか。極限に可愛いではないか!」
「おお若きボンゴレ、またお会いできて嬉しいです」
「わっ、わっ…!」
今度は了平とランボが側までやってきた。了平には力強く頭を撫でられ、ランボには片手を取られて、気障ったらしく手の甲に口付けられる。
(ひ、ひぇぇっ…!)
たくさんの大人に、それもかなりの男前達に囲まれて、ツナはドギマギしっぱなしだ。
さらに、
「ちょっと、小動物の周りで群れないでくれる?」
「ぶっ!」
「わぁぁっ!?」
ずっと黙っていた雲雀が、ツナの手にしつこく口付けをしていたランボをトンファーで殴って退かせ、ツナを抱き上げて男達の中から引き抜いた。
いわゆる、お姫様抱っこで。
「ひ、雲雀さん…!?」
「ここは煩いから、落ち着ける所へ連れてってあげるよ」
優しく微笑みかけられて、大人の色気ムンムンの表情に、ツナの顔が茹でダコのように真っ赤になる。
「待ちなさい、何さり気なく二人っきりになろうとしてるんですか」
だが、これまたさらにドアの近くにいた骸が行く手を阻んだ。相変わらず変わった髪型をしているが、こちらも大人のフェロモン垂れ流しだ。
「クフフ、実に愛らしい姿ですねぇ沢田綱吉。ほら、可愛がってあげますからこっちに来なさい」
「え、あの……」
「させるわけないでしょ。君みたいな変態に渡したら、小動物なんて一瞬で食われそうだ」
「く、食われる…!?」
「それを言うなら、君も同じでしょう」
剣呑な雰囲気の二人に挟まれて、ツナはどうして良いか分からずおろおろする。というか、良く分からないが何やら不穏な言葉に不安になる。
「お前ら、十代目を困らせるなって言ってんだろ!」
「そーだぜ、恐がってんじゃねーか」
そうして、またツナの周りに群がっていく面々。