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□Cotton candy
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ふわふわ。
ふわふわ。
身体が軽くて、宙に浮いているような心地良さ。
まるで、空を自由に漂う雲のようだ。
「ん、んぅ…ふ、ぁ……」
口いっぱいに広がるのは、とろけるような甘さ。
キラキラと光る、サラサラの砂糖に舌を這わせているような感覚。
砂糖と一緒に、身体も溶けてしまいそうなくらい甘い。
「ん、んんっ…は、ぁ……!」
そして、熱。
火照ったように熱いのは、自分の身体だけじゃない。
周りにいる、火傷しそうなほどの熱を孕んだ手と瞳。
触れると火傷をするどころか、その視線だけで溶けてしまいそうだ。
雲のようで、砂糖のように、熱で一瞬にして溶けてしまう。
ああ、今の自分はまるで―――綿菓子。
***
ことの始まりは、約一時間前。
「ツナ、お菓子パーティを開くぞ」
某月の第三日曜日。
休日なので朝からダラダラと惰眠を貪っていたツナは、リボーンのこの言葉によって叩き起こされた。
「はぁ?お菓子パーティ?何だよそれ」
「その名の通りだぞ。もう他の奴らには、各自スイーツを用意して集まるように言ってある」
「なぁっ!?またお前はそんな思い付き…っていうか、何でいつも俺にだけ言うのが遅いんだよ!」
お客さんが来るということで、パジャマ姿だったツナは慌てて着替え始める。
「そりゃ、慌てふためくお前を見たいからだ」
「性格悪すぎ!どうするんだよ、いきなり言われても、俺何にも用意してないよ!」
そうしているうちに、ピンポーンとインターホンの音がして、「十代目ェー!」という獄寺の声が聞こえてきた。
窓から外を見ると、獄寺や山本、京子達の姿がある。
「わわっ、京子ちゃんまで!」
「おいダメツナ。スイーツを用意できないなら、せめてパーティのセッティングでもしやがれ。人数分の皿と、あとジュースだ。俺はエスプレッソだぞ」
「もーっ!ちぇっ、分かったよ!」
この時のツナは、これがとんでもないパーティになってしまうことを、まだ知らない。
***
「わぁっ、すごく美味しそー!」
リビングには、テーブルに乗り切れないほどの大量のお菓子があった。ケーキやプリン、シュークリームなどの洋菓子から、スーパーで売っているチョコレートやスナック菓子などなど。
「ナミモリーヌでいっぱい買ってきちゃった」
「今日は感謝デーですから!たくさん食べて下さいね、ツナさん」
「ありがとー!京子ちゃん、ハル!」