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□花祭り
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「ツナはもう俺達の子どもみたいなもんだからな。受け取ってくれねぇか?」
「っ……!」

その言葉に、胸がじんと熱くなった。身寄りのない自分を本当の子どものように可愛がってくれる二人に、涙が出そうだ。





「…ってそれとこれとは話が別っ!俺、男ですからぁぁっ!」
「おうっ、喜んでもらえて何よりだ!じゃあ早速着替えるか!」
「ぎゃぁぁぁぁっ!」

牧場に、ツナの絶叫が響き渡った。


***


十数分後。

「あらぁ思った以上に可愛いじゃない!若い頃を思い出すわぁっ!」
「めちゃくちゃ似合ってるじゃねぇかツナ!何か昔の奈々にそっくりな気がするぜ!」
「うぅ……!」

はしゃいだように声を上げる二人に、ツナは顔を真っ赤にして俯いた。その姿は、花祭りの衣装に身を包み、頭に花冠まで付けている状態だ。
結局、抵抗も空しくあれよあれよという間に着せられてしまったのだった。

小柄で華奢な体付きのため衣装はピッタリで、目が大きく可愛らしい顔立ちをしているせいか、今のツナはどこからどう見ても女の子だ。

「本当はね、会場の広場までは同年代の男の子が迎えに来て、エスコートしてくれるのよ」
「だから俺は男で、そんなことあるわけ……」

ていうかこんな恰好で広場になんか行きたくないぃっ!親交を深めるどころか皆から軽蔑されちゃうよー!

ツナが頭を抱えた時、

「綱吉さんっ、おはようございます!」
「おはよーツナ!一緒に広場行こうぜー!」
「っ……!」

いつの間にか、牧場の入り口には二人の少年が立っていた。

一人は、姉と二人で図書館の管理をしている獄寺隼人。もう一人は、父親と牧場を経営している山本武だ。
二人とも、ツナと仲良くしてくれる親友だった。

そして、二人はツナの姿を見た瞬間、ビシッと固まってしまった。

「ぁっ…こ、これは…そのっ……!」

焦ったように両手でスカートの裾を引っ張るツナに、二人は思わず鼻を押さえる。

((やべっ…!))

華奢な身体をピンク色の、いつもより露出度の高い可愛らしい衣裳に包み、白く滑らかな肌を惜し気もなくさらしている。ひらひらのスカートからはほっそりした足が伸びて(そしてそれは内股気味で)恥ずかしそうにもじもじとしていた。
さらに頬だけではなく耳まで真っ赤に染め、眉は困ったように下げられて、トドメとばかりに大きな瞳は涙で潤んでいた。

((可愛すぎるっ……!))

ツナが町に来た時から、彼に密やかな想いを抱いている二人にとって、今のツナの姿は非常に男の欲情を刺激するものだった。

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