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□花祭り
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なみもりタウン……小さいが緑の豊かな、とてものどかで平和な町だ。

そして、その町の外れには古びた一つの牧場があった。





……その名は、ボンゴレ牧場。


***


牧場の敷地の約半分を占める広い畑……その隅っこで、一人の小柄な少年が植えられた作物の世話をしていた。
ふわふわした薄茶色の髪に、髪と同じ色の大きな瞳、薄手のシャツとオーバーオールに包まれた身体は細い。

少年は、手にしたじょうろで作物の一つ一つに水を遣り、地面に生えた雑草を丁寧に抜き取っていた。

「ふぅ……こんなものかなぁ」

しゃがんで作業をしていた少年……沢田綱吉は、立ち上がると額に薄っすら浮かんだ汗を手の甲で拭う。

綱吉こと通称ツナは、最近この町に来たばかりだ。
訳あって行き倒れていたところを町の住人に助けられて、そのままここに住み着くことになった。

そして町長から、今は使われていない寂れてしまった牧場を立て直してみないかと提案され(というか町に住む以上、町の利益になることをしないと噛み殺すよ、と脅された)、ツナは町の人々に恩を返すため、このボロボロの牧場での生活をスタートさせたのだった。

今はまだ少しの野菜を育てることしかできないが、いずれはもっと畑を耕して、鶏や牛なども育てて、立派な牧場にしてみせる!とツナは強く心に決めていた。


そして、町に住み始めて何日か経った今日、

「さって、今日は待ちに待った花祭りの日だ!」

ツナは昨日の夜からわくわくしていた。今日は、この町で毎年春の月に行われる“花祭り”の日なのだ。
花祭りとは、この土地に住む女神様に日頃の感謝を捧げる行事で、町の若い娘達が花の衣装に身を包み、舞を踊るというものらしい。

「どんなお祭りなんだろう…すごく楽しみ……!」

ツナは先日この町に来たばかりなので、まだ町のことは良く分からない。牧場のことも大切だが、町の人とのお付き合いも大切だ。
だから今日みたいなイベントは、町の人達との親交を深める絶好のチャンスなのだ。

それに、

「京子ちゃん、絶対に可愛いだろうなぁ……!」

ツナは照れたように頬を染め、テヘヘと笑った。

京子ちゃん、とは町に住む同い年の女の子の一人で、兄と一緒に海の家を経営している。優しくて明るくて笑顔が最高に可愛い、ツナの憧れだったりする。

今日のために他の女の子達と踊りを猛練習していると言っていたし、ツナは本当に楽しみだった。

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