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□One captive
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連れていかれたのは、マンションのとある一室だった。

男がドアを開けると、玄関には複数の靴が脱ぎ散らかされている。
それを見た瞬間ツナは逃げ出したくなったが、男に手を引かれて強引に中へ上がらされてしまった。

細い廊下を進んで奥にある部屋のドアを開けると、男はツナを先に中へと押し込んだ。
誰かの部屋のようで、中にはベッドやタンスなどの家具、床には雑誌や漫画が散らばっている。

そして、部屋には五、六人の男がいた。

「ちゃんと言われた通り来たみたいだな」
「偉いねぇ、ツナちゃん」

それは、確かにこの間の上級生達で。ニヤニヤといやらしい目で見られて、ツナは居心地悪そうに肩を縮こまらせる。

さらに、

「へぇ、可愛いじゃん」
「イイ身体してるんだって?楽しみだなぁ」

良く見ると、中にはこの前いなかった人間が数人いて、その男達もツナを舐め回すように眺めていた。

不穏な言葉と、滾るような視線を向けられ、ツナは思わず後退る。だが、ツナの後ろから入ってきた男にやんわりと羽交い締めをされて、動けなくなってしまった。

男がツナの上半身をするりと撫でる。

「皆ツナちゃんの身体が忘れられなくてさ、また相手してほしくて集まったんだよ」
「や、だ……」
「何で?ツナちゃんだってよがりまくってたじゃん。またシてほしかったから、ここへ来たんでしょ?」
「違っ…俺は、写真を……!」

脅してきたのはそっちなのに、勝手な物言いをされてカッと体温が上がる。撫でられる手も、気持ち悪くて仕方がない。

「写真?あー、アレね……」
「お願い、します……返して…下さい……」
「写真っていうか写メなんだけどね……じゃあさ、こうしようよ」

上級生に囲まれて、か細い声で必死に訴えるツナに、抱き付いていた男が思い付いたように耳元に唇を寄せる。

「ここにいる全員、満足するまで抱かせてくれたら、この間撮った画像を全部消してあげる」
「っ、な……!」

ツナの表情がサッと青ざめた。
またこの前みたいに、身も心もめちゃくちゃにされなければならないなんて……怖くて、今にも泣きそうだった。

「や、やだ……」
「写真、消してほしいでしょ?」
「っ……」
「それともこう言った方が良い?……抱かせてくれないと、画像をネットにばらまくよ」
「っ…!そ、な…!」

理不尽な言葉に非難するような眼差しを向けても、男は笑ったままだ。周りの男達も欲情した、ギラギラした雄の目でツナを見ている。

きっと本気だろう。言う通りにしないと、本気でネットにばらまく気だ。

「抱かせてくれるよね……?」

ツナの答えは、始めから決まっていたようなものだった。


***

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