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□One captive
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金曜日の放課後。
明日は学校が休みということもあって、生徒達はどこか浮かれた様子で友人と帰ったり、部活へ向かったりしている。
そんな中、ツナは一人浮かない表情で帰り支度をしていた。
「はぁ…どうしよう……」
原因は、今朝下駄箱の中に入っていた小さなメモ用紙。
そこには、今日の放課後に指定された場所に来い、と乱雑な文字で書かれていた。その下には、とある場所の住所も。
名前は書かれていなかったが、ツナはその手紙の主に心当たりがあった。
つい先日、ツナは名前も知らない複数の上級生に捕まって、体育館倉庫で犯されてしまったのだ。代わる代わる男達に抱かれ、身も心もぐちゃぐちゃにされた。
手紙の主は、恐らくあの時いたメンバーの誰かだろう。メモには、来なければあの時の写真をネットにばらまく、という脅し文句も書かれていた。
写真を撮られていたなんて知らなかったけど、もしあの時のことが他の人間にばれたら……考えただけでゾッとする。
でも、行けばこの前みたいな目に遭わされるのではないかと思うと、怖くて身体が竦んだ。
怖い。嫌だ。行きたくない……けど、行かなきゃ……。
「十代目っ、帰りましょう!」
強ばった表情で鞄を抱えると、クラスメイトの獄寺がニコニコしながら近付いてきた。急に声を掛けられたため、びっくりして肩が跳ねてしまう。
「ぁっ…と、今日…俺、ちょっと寄る場所があるから……ごめん」
「…?じゃあ俺も一緒に……」
「ぇっ、ううんっ…時間かかるかもしれないし…じゃあ、またねっ」
「ぁっ、十代目っ?」
後ろで驚いたように声を上げる獄寺に構わず、早足に教室を出る。
(俺…ちゃんと笑えてたかな……)
不安になりながら、ツナは学校を後にした。
***
メモに書かれていた場所は、学校からあまり遠くない所にあるマンションだった。
来たのは良いものの、これから何をされるのか不安は募るばかりで、ツナはマンションを見上げたまま立ち尽くしていた。
しばらくそうしていると、
「あー、やっと来たぁ。待ちくたびれちゃったよー?」
「っ……!」
前方から聞き覚えのある声がして視線を戻すと、マンションの入り口から一人の男が出てきた。ツナを見て、にっこりと笑う。
それは、この間いた男達の一人で、ツナの表情がサッと強ばった。
「ほら、早く行こー?もう皆待ってるしー」
「ぁっ…!」
男は馴れ馴れしくツナの肩を抱くと、ぐいぐい押して建物の中に押し込んだ。拒絶する間もなく、エレベーターに乗せられてしまう。