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□Spider's thread
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(はぁ……)

とある平日の朝の、通勤ラッシュ真っ最中。

今しがた並盛駅を出発した列車の中で、周りをサラリーマンやOL、大学生などに囲まれながら、ツナは隅っこの方で居心地悪そうにしていた。

せっかく今日は学校行事の振り替え休日で休みなのに、母親の奈々から遠くの町までお使いを頼まれてしまった。
こんなに朝早く、まだ眠いのに出かけなければならないなんて。その上ラッシュに巻き込まれてしまって、ツナは気が滅入るばかりだ。

だが、憂鬱な理由はそれだけではない。

つい先日、ツナは今日と同じようなラッシュに巻き込まれて、あろうことか痴漢に遭った。
知らない男に身体中を撫で回されて、乳首やペニスなど敏感な部分を直接触られた。しかもそれに感じてしまって、最後は列車の中でイかされてしまったのだ。

羞恥と屈辱、快感への戸惑いと達してしまった時の衝撃。いろんなことで頭がぐちゃぐちゃになって、しばらく立ち直れなかった。

だから、できれば当分は電車に乗りたく無かったのに……まさかそのことを奈々に言うわけにもいかず、渋々了承したのであった。

またあの男がいたら……そんな偶然あるはずないのに、やはり不安になってしまう。
この間とは時間も行き先も全然違うし、今回の電車はたくさんの駅に停まるので人の入れ代わりも激しい。
ましてや男の自分がそう何度も痴漢に遭うわけがない。

(考えすぎだよな……)

軽くため息を吐いて、ツナは肩の力を抜いた。大丈夫、と自分に言い聞かせながら。

だが、しばらくして、

「ッ!?」

不意に何かがお尻の辺りに触れ、ツナは大袈裟なくらいびくついた。

ぴったりとくっついているのは確かに人の手で、明らかにツナのそこを撫で回している。

(う、そ…何で……!)

先日の男ではないだろうが、まさかまた痴漢に遭ってしまうなんて。
尻全体を撫でていた手が、次は感触を確かめるようにやわやわと揉んだり、ギュッと鷲掴んだりしてきて、ツナは焦った。

逃げようと身体をずらしても、人でいっぱいの車内では僅かな隙間しかなくて、離れてもすぐに男の手が追い掛けるように触れてくる。

「……君、可愛いね。まだ中学生くらいだろう……?」
「っ…!」

どうして良いか分からず泣きそうになっていると、背後の男が耳元で囁いてきて、ゾッと鳥肌が立った。

前と同じ、ねっとりと絡み付くような低い声。

ツナは、恐怖で身体が固まってしまった。

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