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□Mushroom panic!
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「……はぁ、何でこんなことに……」
夜が近付くにつれて、だんだん暗くなっていく森の中。
その深い木々の間を、ツナはびくびくと怯えながら歩いていた。
突然未来へと飛ばされた上に帰れなくなってしまい、同じく過去から来た獄寺と、どこからか現れたラルという女性と一緒に行動をしている真っ最中。
今日は野宿をするため、獄寺と手分けして食料を集めようと、一人でこの不気味な森を歩いているのだ。
「ちゃんと過去に帰れるのかなぁ……ってうわっ!」
森の中で何が食べられるのかなんて分かるはずもなく、キョロキョロしながら歩いていると、落ちていた木の枝につまずいて派手に転んでしまった。
「んぶっ……んぐっ!?」
思いっきり顔から地面に突っ込んでしまい、口を開けていたため、そこにあった何かが口の中に入り込んでしまう。
柔らかい感触の何かを、ツナは反射的に飲み込んでしまった。
「ぐ、げほっ…!な、何か飲んじゃった……!」
咳き込んで吐き出そうとしてももう遅い。何やらキノコのような形と食感をしていた気がするが……まさか毒のあるモノじゃないだろうか、とツナは青ざめる。
「ど、どうしよう……!」
それが、命に関わるような危険な食物ではなかったものの、とんでもない効果を持つものだと分かるのは、この後すぐのことだった。
***
一方、獄寺は森の奥で池を見付け、魚を獲ろうとしていた。
「よっしゃ、たくさん釣って十代目にご馳走するんだっ!」
敬愛するボスのため、意気込み良く池へと向かっていく。
その時、
「……、………!」
「……ん?」
木々の向こうから、人の気配と息遣いのようなものを感じた。同時にこちらへ向かってくる足音。
怪しい奴かもしれない、と獄寺は気配のする方向へこっそりと近付いていく。
(……敵か?もしそうだったら速攻果たしてやる!)
両手にダイナマイトを握り締めて、まだ姿の見えない誰かをキツく睨む。
やがてガサガサと草を掻き分ける音がして、背の低い木々の間から一つの影が飛び出してきた。
「っ、え……十代目?」
それは、獄寺が尊敬して止まないボス……ツナの姿だった。確か自分とは反対の方向へ向かったはずなのだが、と首を傾げる。
だが、そのツナはフラフラと覚束ない足取りで姿を現わすと、その場にへなへなと座り込んでしまった。
「じ、十代目っ!?どこか具合でも…!?」
俯いていて表情は分からないが、良く見ればツナは顔が赤く呼吸も荒い。