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□In the box
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(うー…あつ……)

隙間なく人で埋め尽くされた満員電車の中。

入り口の隅っこに追いやられて、ドアに張り付くようにして立っていたツナは、こっそりとため息を吐いた。

もうすぐ日が沈むというのに、ジリジリとした暑さの残る真夏の夕方。

たまたま地元から少し離れた町に用事があって、その帰りに帰宅ラッシュに巻き込まれてしまったツナ。この時間帯、列車の中は仕事帰りのサラリーマンや学生でいっぱいだ。
身動きもロクに取れないくらいぎゅうぎゅうの車内では冷房も意味を成さずに、溢れ返った人々の熱気で気分が悪くなりそうだった。

下車する並盛まではまだ数十分以上ある。それまで列車は一回も停まらず、新鮮な空気を取り込むこともできない。

(はぁ…早く着かないかなぁ……)

周りを疲れ気味のサラリーマンに囲まれて、ツナはドアの窓から次々と流れていく風景を見ながら、この状態から解放されることをひたすら願っていた。


***


どれくらいの時間が経ったのだろうか。いや、先ほどの駅を出発してからまだ数分も経っていないはずだ。

ぼんやりと窓の外を眺めていたツナは、ふとお尻の辺りに違和感を感じた。何かが触れているような、そんな気がする。

(………?)

鞄か何かが当たっているのだと思って、あまり気にせずに少し身体をずらしてそれから離れる。

だが、それは再びツナに触れてきて、まるで尻を撫で回すかのようにごそごそと動いている。

(え…もしかして、手……?)

大きくてゴツゴツした、男の手。そう思った瞬間、探るように蠢いていた手が、感触を確かめるかのように尻をギュッと鷲掴みにした。

「っ…!」

びっくりして肩が跳ね上がる。

ツナの小振りの尻をつかんだまま、やわやわと揉みしだいてくる背後の人物。

まさか、と頭に浮かんだのは“痴漢”の二文字。

(何で…俺、男なのに……!)

確かに顔は母親似だし、背も低くて身体も細い。けど、髪は短いし今日着ているTシャツとハーフパンツも男物の柄だ。だから女の子に間違うはずないのに。

離れることなく触れ続けてくる手に、ツナは軽くパニックを起こしていた。

すると、散々尻を撫でたり揉んだりしていた手がだんだん上の方に向かって、するりと腰のラインをなぞりながら前に回された。
そのまま、今度は肉付きの薄い上半身を撫で回し始める。

(や、だ…気持ち悪い……!)

くすぐったさと同時に、ぞわぞわとした嫌悪感が這い上がってくる。

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