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□Hot dessert!
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大浴場には広い浴槽と洗い場、そして外にも広い露天風呂がある。豪華だが落ち着いた色合いの石造りで、静かな中に湯の流れ出る音が響く、何とも風情のある温泉だった。

二人は先に中の温泉に浸かり、次に身体を洗って、最後に露天風呂に入ることに決めたようだ。

「おおすげぇ!」
「わぁ……」

露天風呂は、さらに趣深いもので。濃い色の石でできた浴槽に、周りは小さな庭園のようになっている。竹や苔の緑に、宿の前は川が流れているのか、さらさらと静かに水の流れる音がしていた。

「ツナ、こっち」
「は、はい……」

先ほどのように手を取られて、湯の中へ招き入れられる。たが、ツナは何故か先ほどよりもさらに縮こまっていて、ディーノから少し離れて浸かった。

「ツナ?何でそんなに離れるんだ?もっとこっちこいよ」
「………」
「逆上せちまったのか?」
「い、いえ……」

さらに俯いてしまったツナを見て、ディーノは不思議そうに尋ねる。それでも顔を上げないので、近付いてその顔を覗き込んだ。

「ツナ……?」
「み、見ないで下さい……!」

慌てて背けようとする顔を捕らえられ上に向けさせられる。
ツナは耳まで真っ赤になっていた。大きな瞳が潤み、困ったように眉を下げているのは、決して熱い湯に浸かっただけではなさそうで。

「何だよ、照れてるのか?」
「っ……!」
「裸なんて、もう何回も見てるだろ?」
「だ、って……!」

普段の情事のことを揶揄するように言われて、さらにどうして良いか分からず茹でダコのようになってしまう。

ディーノの裸体は何回も見ているし、今までも行為の後は一緒に風呂に入っていたのだが、やはり慣れないものは慣れない。しかも今回は初めての二人っきりの旅行で、高級な旅館に連れてきてもらって、変な緊張もあって。

本当は、脱衣場で服を脱いでいる時からドキドキしていて、なるべく見ないようにしていたのだ。でも温泉に浸かっていつもより艶やかな身体とか、たくましい肉体を洗う姿とかに目が離せなくなって。

「ディーノさんが、その…いつも以上に格好良くて…俺………」
「ツナ……」

視線をそらしながらモジモジしているツナを見て、ディーノはフッと頬を緩めた。誰もが見惚れるような微笑みで。

「……何だ、そんなこと」
「ぁっ……!」

身体に手を回されて、あっという間にディーノの腕の中に閉じ込められてしまう。鍛えられた胸板が触れ、一気に心臓が跳ね上がった。

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