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□Hot dessert!
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「おおーっ!これがジャッポーネの温泉か!」

湯煙で白く霞みがかった広い浴場に、青年のはしゃいだ声が響いた。

言葉は流暢な日本語だが、輝くばかりの金髪に金色の瞳は、日本人のそれではない。腰にタオルを巻き付けただけの姿で、すらりとした長身にたくましい肉体を惜し気もなくさらしている。

「ツナ、早く来いよ!」
「待って下さいディーノさんっ」

青年……ディーノは背後を振り返ると、後から入ってきた日本人の少年に声を掛けた。少年……ツナは、同じくタオルを巻いただけの姿で、ちょこちょことディーノの後を付いてくる。

「いやー、日本にはこんな良い所があるんだな。羨ましいぜ」
「はは…日本人でも滅多に来ることはできないですよ…こんな高級な旅館……」


今日、ツナはイタリアから来た兄弟子であるディーノに連れられて、とある温泉の名所の、老舗旅館を訪れていた。一般人のツナが見ても分かるくらい、そこはいかにも高級そうで……だが、ディーノはさらにその旅館を貸し切りにしてしまったのだ。

なので、今この宿には従業員以外、ツナとディーノの二人しかいない。ディーノの部下も、近くの別の場所に待機させているらしい。


広い浴場に感嘆したような、ため息のようなものを吐いていると、ディーノが自分の手をこちらに向けて差し出した。

「ほら、ツナ」
「え……?」
「足元、濡れて危ねぇから」
「ぁ…ありがとうございます……」

ツナは、僅かに頬を染めながらその手を握る。

実は二人は恋人同士なので、手を繋ぐことは不思議ではない。しかも外国人のディーノからすれば、何でもない自然なエスコート。
だが、日本人でそういうことに慣れないツナはいつもどぎまぎしてしまう。それが、ディーノのような男前なら尚更だ。

「滑りやすいから、気を付け……おわぁっ!」
「ぎゃあっ!」

そして、照れていたツナは忘れていた。ディーノが、自分よりも遥かに鈍臭いということを。

案の定、ディーノは足を滑らせ派手に転んでしまい……手を繋いでいたツナも当然のように巻き込まれた。

「いってぇ……わっ、ツナ大丈夫か!?」
「ぅ…いひゃぃ……」

ディーノが慌てて抱き起こすと、ツナは顔面からもろに転けたらしく、鼻の頭が少し赤くなっていた。

そして、顔を覗き込んでくるディーノもまた、鼻を赤くしていて。

「……ぷっ」
「っ、ははっ……!」

二人は同時に吹き出したのだった。


***

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