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□False charge
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綱吉は突然、町の役人達に捕らえられて、この牢獄に押し込められたのだ。
何が起こったのか、役人達が何を言っていたのかさえ分からなかった。有無を言わさず、ここへ放り込まれたのだから。


あれから何時間くらい経ったのか。ちゃんとここから出られるのか。まさか、ずっとこのままなのでは……考えるだけで、不安でどうにかなりそうだった。


それから、ツナにとっては何時間も何十時間にも感じられた時。

不意に、地下に複数の足音が聞こえてきた。それはだんだん近付いてきて、やがてすぐ側で止まる。

「……おい、出ろ」
「っ……!」

低い声にびくりと肩が跳ね上がる。顔を上げれば、複数の看守が自分を見下ろしていた。
その中の一人が牢の中へ入ってきて、ツナの細い腕をつかみ無理やり立たせる。

「っ、ぁ……!」
「さっさと出ろ」

そこでようやく、先ほどの言葉が自分へ向けられたものだと知り、ツナの恐怖はさらに高まった。

どこへ連れて行かれるのか、何をされるのか……心臓をばくばくさせながら、看守達に連れられて通路を進む。他の牢獄の中から囚人達が何やら言葉を浴びせてくるが、今は何も分からなかった。

「入れ」

連れて行かれたのは、同じ地下牢の一画で、他の牢屋とは違い小さな部屋のような所だった。部屋と言っても周りを剥き出しの岩に囲まれ、鉄格子でできた扉が一方にあるだけなのだが。
壁にはランプがいくつかあり明るく、中央奥に古びた机と椅子が置かれている。

そして、そこには一人の年配の男が座っていた。町の自警団の制服を身に付け、詳しくは分からないが、地位の高そうな男だ。

だが、それよりもツナは部屋の中に置かれたたくさんの拷問器具に顔を真っ青にさせた。今すぐ逃げ出したい気持ちに駆られるが、複数の看守に囲まれているので叶いそうもないが。

ツナは椅子に座った男の前に突き出されると、その場に跪かされた。

「……さて、お前は罪を犯しここへ来た。分かるな?」
「なっ…俺は何もしてませんっ!何も……!」

思わず訴えたが、男が目を細め椅子から立ち上がったので、怖くて言葉を飲み込んでしまう。

男はゆっくりとした動きでツナの前まで移動すると、その顎をつかんで上げさせた。

「ぁっ……!」
「しらばっくれる気か?」

顔を覗き込まれて、ねっとりと舐めるように眺められる。顔だけではなく、全身も。
ツナは全く動けないでいた。

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