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□False charge
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そこは牢獄だった。暗くて深い、まるで闇の底のような。

地下に広がるその空間は、いくつかの石の壁で区切られ、錆付いた太い鉄格子がはめ込まれている。
陽の光は一切ない。所々に取り付けられた古ぼけたランプの明かりが、その周辺だけをぼんやりと照らしている。だから広い牢獄の奥深くまでは光が届かず、どこまでも暗闇が続いているように見えた。

さらに、地上への入り口は狭く一つしかない為、新鮮な空気もほとんど入らない。地下に留まった、酷く淀んだ空気がねっとりと身体に絡み付くようだ。

どこか隙間が開いているのか、そこから微かな風が入り込む。だがそれは地下の岩に反響して、化け物の唸り声のように聞こえた。
そんな不気味な音に混じって、牢獄のあちらこちらからは、捕らえられた囚人達の怒声や呻き声などが響き、本当の地獄のような雰囲気だった。

ここは、様々な罪を犯した男達を収容する場所だ。暗くてはっきりとは見えないが、そこにはたくさんの気配が蠢いているのが分かる。
その瞳は、檻に入れられた猛獣のようにぎらついた者もいれば、またはこの監獄のように光のない、淀んだ色をしている者もいた。

決して出ることはできない、閉ざされた世界。

そんな中、とある牢獄の一つに、一人の少年がいた。
鉄格子のすぐ側に座り、蹲ってぶるぶると震えている。

年齢は若く、まだ十代半ば程で、小柄な身体やあどけない顔立ちがさらに少年を幼く見せていた。
ふわふわした薄茶色の髪に大きな瞳。両膝を立て、そこに頭を押し付け顔を埋めるようにして小さくなっている。

髪や服装は汚れているが、他の囚人達とは違い、明らかにまだ牢獄に入って間もないような姿だった。

「っ……」

少年……綱吉は、ただ酷く怯えていた。

一つの牢獄には複数の囚人が入れられていて、奥からは新入りの綱吉をじろじろと値踏みするように見る男達の視線が突き刺さってくる。
その視線も、真っ暗なこの場所も、唸り声のように響き渡る音も……全てが怖くて、綱吉は一人で蹲っていたのだ。他の囚人達に暴力を振るわれたら……そう考えるだけでさらに身体が震えてしまう。

(なんで、俺…こんな所に……)

実は、綱吉は身に覚えのない罪を着せられてここにいた。

彼に家族はいない。小さな町の、やはり小さな家で住み込みで働きながら生活をしていた。
大変だが平和で、穏やかな日々。

それが崩れたのは、つい先日のことだった。

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