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□Mischief
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「うぅー、分かんないよぉ……」

外で蝉の鳴き声が聞こえる中、クーラーの効いた涼しい部屋で、ツナは机の上に高く積まれた宿題を前にべそをかいた。

小学校は夏休みの真っ最中。本来なら一日中ゲームをしたりゴロゴロしたり、外で遊び回りたいのだが……母親の奈々に「いい加減に宿題をしないと遊ばせてあげないわよ」と怖い笑顔で言われて、渋々宿題をしているのだった。
ただでさえ勉強が苦手なツナにとって、夏休みの宿題ほど苦痛なものはない。

だが、

「あと少しだろ?もう一回考えてみろよ」
「う、うん……」

半泣きになっていると、隣から低く大人っぽい、だが優しげな声が聞こえて、ツナは少し頬を染めながら頷いた。

ツナの側に座っているのは、大学生くらいの青年だった。すらりとした長身にしなやかな体付き。そして、女の子なら誰もが見惚れるような整った顔立ちをしている。

それは、ツナの家の隣に住む大学生の青年だった。
その男には、ツナがもっと小さい頃から良く遊んでもらったり、勉強を見てもらったりしていた。歳の離れたツナを、いつも可愛がってくれる面倒見の良い青年だ。

学年が上がるにつれて男がどんどん忙しくなっても、大学生になった今でもこうしてツナの相手をしてくれて……兄弟のいないツナにとって、男は本当の兄のようだった。
実際にツナは、男を名前ではなく“お兄ちゃん”と呼んでいる。優しくて格好良くて、頭も良い。ツナは幼い頃から男のことが大好きで、憧れの存在だった。

だが、

「こ、こう……?」
「お、正解正解。やればできるじゃねぇか」
「っ……!」

恐る恐る答えを出せば、褒めるように頭を撫でられる。頬を緩めて笑う表情に、大きな手の感触に、ツナは顔を真っ赤にして俯いてしまった。

最近、ツナは自分がどこかおかしいと思う。
ずっと大好きで、頼りになる、お隣に住む憧れのお兄ちゃん。同級生の誰と遊ぶよりも楽しくて、大嫌いな勉強も男に褒めてもらえるから頑張れる。

けど、最近はそれだけじゃない。

「ツナ?どうかしたのか?」
「う、ううん…何でもない……!」
「そうか?じゃあ、次の問題だけど……」

嬉しいだけじゃなくて、何だか胸がドキドキするのだ。笑いかけられたり、触れられたりするだけで、あり得ないくらい心臓が脈打つ。
近頃では、男の姿を見るだけで顔が赤くなってしまいそうになるのだ。

「これは、こうやって……」
「っ……!」

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