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□センパイ受難曲!
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俺の名前は持田剣介。並盛中学に通う三年生で、剣道部主将だ。





そんな俺は、近頃どこかおかしい。





まぁ、おかしいと言っても原因ははっきりと分かってる。それは……





「十代目っ!おはようございます!」
「はよーっす、ツナ!」
「あっ、おはよう二人とも!」

「っ……!」

いつもの朝。欠伸をしながら登校していた俺は、校門を通ろうとして、近くから聞こえてきた声に大げさなくらいびくついた。
思わず、近くにあった電信柱に隠れてしまう。

柱の陰からこっそり覗くと、視線の先には一人の男子生徒がいた。

ふわふわした柔らかそうな薄茶色の髪に、同じ色の大きな瞳。肌の色は白くて、低い身長にほっそりとした体付き。
そして、二人のクラスメイトに挟まれて笑う姿はものすごく可愛らしい。





―――2-A、沢田綱吉。


談笑しながら校門をくぐるそいつらから、俺はかなりの距離を取って恐る恐る歩いていく。
気付かれないように。心臓を、ばくばくとさせながら。





近頃の俺は、どこかおかしい。

今みたいに、一つ下の後輩……沢田綱吉を見ると、何というか、こう…胸がドキドキと激しく高鳴ったり、ギュッと締まるような感覚に捕われたり、もやもやと良く分からない気分になったりする。姿を見なくても、頭の中に浮かぶのは沢田のことばかり。

(いや…そんなの考えるまでもないんだけどな……)

そう、俺はどうやら沢田のことが好きらしい。恐らく、アイツに恋をしているんだと思う。

何故曖昧なのかと言うと、こんな気持ちになるのは初めてで……良く分からなくて、正直戸惑っているんだ。

(今までこんなことはなかったからな……)

自分で言うのも何だが、俺はそこそこ良いルックスをしてるし、勉強も割とできる方だと思う。運動神経も良いし、剣道部主将なんて格好良いじゃないか。
そんな俺が、好きになった女の子と付き合うのは簡単なことだった。

それが、今では余裕なんて一つもなくて、こうして遠くから沢田の姿を見つめることしかできない。しかも、相手は俺と同じ男で……いったい俺はどうしてしまったのだろうか。

けど、それでようやく気が付いたんだ。これが、本当の恋なんだって。今までの女の子は可愛いって思っただけで、本当に好きな訳じゃなかったんだ、って。

いわゆる“初恋”ってやつだ。

「はぁ……」

俺はため息を吐くと、憂鬱な気分を隠そうともせず、気だるい足取りで校舎へと向かった。





離れた所にいた誰かが、俺の方を見ていたのも知らないで。


***

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