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□女王様と浮雲と(後編)
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だが、再び辺りが静まり返っても、ツナは念のためまだ布団の中に隠れていることにする。

やがて、

(も、もう大丈夫かな……)

もうどこかへ行ってしまっただろう、と恐る恐る布団の中から出ようとした。

その時、

「っ……!」

ガタン、とベッドのすぐ側で物音がして、バルコニーの窓が開く音がした。次いで人の気配と、

「何だ、やっぱりいるんじゃない」

聞き覚えのない、男の声。その言葉から、ドアをノックしていた人物だということが分かる。
どうやら外へ回って、バルコニーまで登ってきたらしいが……

「って、ここ五階なんですけどぉぉっ!……、えっ…?」

思わずベッドから飛び起きて、盛大に突っ込んでしまったツナだが、部屋に入ってきた人物を見てぴたりと固まった。何故なら、それはツナの良く見知った人にそっくりだったからだ。

「ひ、雲雀さんっ…!?」

その顔立ちは、かなり大人びているが並盛最強の風紀委員長、雲雀恭弥そのものだった。違うと言えば、今よりもすらりとした長身をして、髪も濡れたような漆黒ではなく、

「ひ、雲雀さんがどうしてここにっ…いつの間にそんなに背が伸びたんですか!?っていうか髪の毛がし、白い…何で急に老けちゃってんのぉっ!?」
「……君、初対面なのに失礼だね。それに、僕のこの髪は生まれつきなんだけど」
「へっ…?ぁっ……!」

驚きのあまり男に駆け寄って、近くから見上げてツナはようやく気が付いた。少し不機嫌そうに眉を寄せる人物は雲雀に良く似ているが、やはり少し違っていて……。

(この人、確か初代雲の守護者の……)

そして、一気に青ざめた。

「ごごごごめんなさいぃっ!人違いでしたぁぁっ!」

そう叫んで、慌てて再び布団の中に逃げ込んだ。

(あああどうしようっ!俺、めちゃくちゃ失礼なこと言っちゃったよ!でもこの人雲雀さんにすごい似てるし、か、噛み殺されちゃったら…!)

布団を頭まですっぽりと被って、恐怖でガタガタと震える。

「………」

そして、ツナは知らなかった。勢い良く布団を被ったせいで、下の方が捲れ上がってしまい、ツナの小振りな尻が男から丸見えになっているということを。

ちなみにツナの服装は、ジョットの趣向により上は大きめのワイシャツ一枚、下にいたっては真っ白の、ブリーフのような下着一枚で、白く滑らかな双丘と細い足が丸見えである。

まさに、頭隠して尻隠さず。

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