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□女王様と浮雲と(前編)
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「本当に可愛いな、ツナヨシは……」
「甘いモノ、好きだろう?ほら、食べさせてやる」
「眠いのか?なら一緒にベッドで寝るぞ」
「さぁ、風呂に入ろう。ちゃんと綺麗に洗ってやるからな」
「ツナヨシ……愛してる」
そう…例えるならそれは、まるで夢の中のような、
物語の中のお姫様になったような、そんな気分。
それはとても甘くて、
とろけるくらい甘くて、
もうこのまま、本当に溶けてしまいそうで、
(い、い、いつになったら元の時代に帰れるんだよ―――っ!?)
ツナは、心の中でそう叫んだのであった。
***
故障していた十年バズーカの弾に当たって、何故か数百年前の過去に飛ばされてしまってから、すでに数日が過ぎようとしていた。
落ちた森の中で、綺麗で美しくて麗しいジョットという若い男(もしくは初代ボンゴレボス)に出会い、何故か酷く気に入られてしまって、そのまま彼の屋敷へ強制的に連れていかれたツナ。
そこでたくさんのドルチェをご馳走になったり、口では言えないようなあんなことやこんなことをされてしまったわけだが……次の日になっても、その次の日になっても未来に戻れる気配が全くない。
それから数日間、ツナはジョットによって、この部屋にずっと監禁されたままだった。監禁といっても、それはそれはどこのお姫様かというように可愛がられ、何不自由ない生活を送っているのだが。
「ツナヨシ……」
「ぁ……!」
ジョットが、膝の上に乗せたツナの身体を抱き締めて、慈しむようにその柔らかな髪を撫でる。
部屋からは一歩も出してもらえず、ツナの側にはずっとジョットがいた。座る時はジョットの膝の上。ソファーやバスルームへ移動する時も、必ずお姫様抱っこで連れていかれる。
食事やドルチェも、全てジョットの手から食べさせられるという状態。
さらには何もない時でも、今のように頭を優しく撫でられ、顔中にキスされて、暇さえあれば押し倒されて……羽ペンよりも重い物を持ったことのないお姫様でも、ここまでではないだろう。
「可愛い、ツナヨシ……」
「んっ……!」
頬に軽くキスをされて、身体がぴくんと跳ねる。
今まで普通の生活を送ってきたツナにとって、ジョットの異常なまでの可愛がりようはいつまで経っても慣れないし、戸惑うばかりなのだが……。
「ふふ……顔が真っ赤だぞ?」
「ぁぅ……」
ジョットを見ると、つい見惚れてしまって、されるがままになってしまうのだ。