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□Puppeteer
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夢を見た。
いつもの仲間達と、いつものように大騒ぎをしている夢。
そこには、炎真君達もいて。
けれど、
今ではそれが、もう遠い昔のように感じてしまう。
***
「ん……」
ツナが目を覚ますと、そこはどこかの部屋のベッドの上だった。いつの間に眠ってしまったのか、白いカッターシャツを着て、薄い布団を被っている。
(ここ…どこだっけ……)
まだ完全に目覚めていない頭でぼんやりと思う。
暖かな陽射しと穏やかな風を感じて視線を向ければ、部屋に一つしかない大きな窓が開いていて、そこから青い空と海が広がっていた。
自分は今まで何をしていたのだろうか……と考えて、不意に窓の脇に誰かが立っていることに気が付く。
「おっ!ツナちゃん、やっと起きた?」
「っ……!」
びくっと肩が跳ねて、ぼんやりしていた意識が一気に覚醒した。
「ぁっ……!」
「俺ら激しくしすぎちゃったみたいでさぁ、気絶しちゃったんだぜぇ?」
それは、シモンファミリーの一員である加藤ジュリーで。
(そうだ…俺……!)
ツナはようやく、意識を失う前に自分が何をしていたのかを思い出した。
いや、何をされていたのかを。
(俺…この人と、炎真に……)
記憶が鮮明に蘇って、そしてにこにこと笑いながらこちらに近付いてくるジュリーを見て、サッと表情が強ばる。
「っ、いた……!」
だが、慌てて逃げようと身体を起こした瞬間、下半身に走った痛みに、ツナの動きが止まった。腰がずきずきと鈍く痛み、全身が鉛のように重い。
「あーあ、まだ安静にしといた方が良いよー?後ろ切れちゃったし、身体中痛いだろ?」
「ゃっ…来るな……!」
上手く動くことができず、ベッドの上で尻餅を着いてしまう。がたがたと震え始めるツナの顔を覗き込んで、ジュリーはにっこりと笑った。
「そんなに怯えなくても良いのにぃ。傷付くなぁ」
「あ、当たり前だっ…!あんなことして…一体、何であんなっ……!」
最後まで言うことができず、きゅ、と顔を歪める。
ジュリーだけではなく、友達だと思っていた炎真にも酷く犯されて、ツナは身体も心もぼろぼろになっていた。
「だから言ったじゃん?憎いボンゴレに復讐するって。炎真はツナちゃんのことが大嫌いで、憎くて堪らないんだから」
「っ……!」
本当は炎真がそんなことを思っていないことを良く知っていて、ジュリーはわざとツナが傷付くような嘘を吐く。