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□鳥籠
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そこは、狭くて暗いどこかの牢獄だった。

周りを分厚い石の壁に囲まれ、正面には硬い鉄格子がはめられている。窓は一つもなく、明かりは通路の壁に付けられた小さなランプだけだ。

そんな、地下に広がる牢獄の一つに、一人の少年が捕らえられていた。

両腕を壁に打ち付けられた杭から垂れる鎖に拘束されて、上へ引っ張られるように繋がれている。辛うじて床に座っている状態だが、意識がないのか、うなだれて身動ぎ一つしなかった。

薄茶色の柔らかそうな髪に、瞳は閉じられていて見えないが、綺麗な顔立ちをしているのが分かる。
まだ十代半ばくらいだろうか。少年らしいほっそりとした身体を、壮麗な装飾がなされた白い軍服に包んでいた。

「………」

不意に、少年の身体がぴくりと反応して、キツく閉じられていた瞳が薄らと開かれた。ゆっくりと顔を上げたことで、隠れていた表情が露になる。

それはオレンジ色の、意志の強そうな瞳をもつ少年だった。幼いが凛とした顔付きが、大人びた印象を与える。

少年は、自分の置かれた状況を一瞬で把握して、また同時に聞こえてきたカツカツという靴の音に、眉を寄せた。澄んだ瞳に、鋭さが増す。

その足音はだんだん大きくなって、やがて少年のいる牢獄の前で止んだ。

「……目が覚めましたか」

現れたのは、藍色に特徴的な髪型をした、オッドアイの瞳を持つ一人の青年だった。少年よりも少し年上に見えるその人物は、こちらは対称的な漆黒の軍服に身を包んでいる。

「気分はいかがです?沢田綱吉特戦部隊長」
「………」
「ああ、申し遅れました。僕は六道骸と言いまして……ここで調教師をしている者です」

口調は丁寧だが、その笑みは何を考えているのか分からず不気味で、また冷たい印象を受ける。

牢獄の鍵を開け中に入ってきた男……六道骸を、沢田綱吉と呼ばれた少年はただ静かに睨み付けた。


綱吉の祖国ボンゴレと骸のいる黒曜は、もう長い年月の間戦争を繰り返していた。

綱吉はその若さで国軍の、その中でもエリートだけで構成される国王直属の特殊戦闘部隊の隊長の地位に就き、その圧倒的な強さから敵国黒曜に恐れられるほどの人物だった。
だが抗争の最中、黒曜の巧みな罠により、捕らえられ捕虜の身になってしまったのだ。

つまり、ここは敵国の領地の中。綱吉の前に現れたこの骸という男は、黒曜の調教師、拷問係らしい。

「貴方には聞きたいことがあるんですよねぇ。ボンゴレのことについて」
「……俺が敵に喋ると思うか?」

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