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□Queen and princess
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「……何だ、それは」

森を抜けた先に広がる広大な敷地。その中心にそびえ立つ巨大な屋敷のエントランスで、赤毛にタトゥーの男は眉を寄せた。
いつものようにふらりと外へ出ていった屋敷の主がようやく帰ってきたと思ったら、どこの誰とも分からない子どもを連れてきたのだから無理もない。

一方のジョットは、そんな男の様子は気にも留めず飄々としている。

「可愛いだろう?森の中で拾ったんだ」
「拾ったってお前……犬や猫じゃねぇんだぞ」

ジョットの腕に抱かれたまま縮まっているツナを見て、赤毛の男……Gは深いため息を吐いたのだった。


***


「さぁ、好きなだけ食べても良いからな」
「あ、あの……」

案内されたのは、屋敷の最上階にある部屋。どうやらジョットの自室らしい。
中は落ち着いた色合いで、品の良い調度品が置かれていた。

ふかふかのソファーの前にあるテーブルには、ケーキなどたくさんのドルチェが並べられていて、ソファーに腰を掛けたジョットがツナに勧める。

だが、

「どうした?食べないのか?」
「その…えっと……」

(な、な、何だよこの状況ーっ!?)

ツナは、ドルチェに手をつけることができずかっちんこっちんに固まっていた。
それもそのはず、なぜかツナはソファーではなく、ソファーに座るジョットの膝の上に乗せられていたからだ。

女の子なら喜びそうなものだが、自分は男で……恥ずかしくて仕方がない。

「ひょっとして、甘いものは嫌いか?」
「うえっ!?い、いえ…嫌いじゃ、ない…ですけど……!」

(そ、それよりもこの体勢がぁぁっ…!)

不思議そうに顔を覗き込まれて、慌てて返事をする。

すると、

「では遠慮をするな。ほら……」
「ぇぇっ…!?」

これまた驚いたことに、ジョットがフォークでケーキを掬うと、ツナの口元にそれを持っていった。

いわゆる“あーん”というやつだ。

(ひぇぇぇぇっ…!)

どうして良いか分からず目を白黒させるが、ジョットのキラキラした笑顔が眩しすぎて、断ることもできない。

「っ、んむ……」

結局、拒否することができず、ツナはおずおずとそれを口に含んだ。真っ赤になりすぎて、顔から火が出そうだ。

「上手いか?」
「ん……」

ジョットの問いに、こくこくと頷くことしかできない。

「なら、もっと食べろ」

(ひぃぃ誰かぁぁっ…!)

それからツナは、どこぞのお姫様だと突っ込みたくなるほど、ジョットの手から繰り返しケーキやチョコを食べさせられたのであった。

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