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□それはアニマル飼育員の仕事じゃない!
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「沢田さん、さよーならー!」
「おー、さようならー」

魔法使い養成専門学校『マジック☆ボンゴレ学院』は、今日も大なり小なりのアクシデントが起こりつつも、無事に(?)放課後を迎えようとしていた。

『アニマルマスター科』の飼育員として働くツナも、匣アニマルを飼育エリアへ戻して帰っていく生徒たちを見送りながら、ようやく一息つく。

(疲れた……俺も早く帰りてー)

飼育エリアの管理は二十四時間体制だ。生徒が帰宅しても、匣アニマルの世話や設備の点検業務があり休む暇はない。

だが今日は早番のため、もうすぐ退勤時間となる。なので、放課後前の生徒と同じようにソワソワしていた。

(やっと休み……今度こそ、部屋にこもってゲームして、ナッツと一日中ゴロゴロしてやる)

遅番の職員に引き継ぎをして更衣室へ向かい、素早く着替えて帰り支度をする。今日は絶対に残業はしない、ちんたら残っていたら鬼の元担任に無理難題な業務を押しつけられるため、見つからないうちにさっさと帰る……疲れと眠気に少しフラフラするものの、ツナは待ちに待った休日を得るため足早に職場を後にした。

先日、非番にも関わらず学院外の出張を命じられ(それも中々のハード業務)、いろんな意味で散々な目に遭った。その疲れやダメージが取れないまま週明けの勤務が始まってしまい、ここ数日ヘロヘロの状態が続いていたのだ。

だからこそ、今回は絶対に心と身体を休めなければならない。職員寮へ戻ったら、まずは寝て体力を回復させる。それから、部屋に買い込んであるお菓子やジュースを食べながら、のんびり漫画を読んだりゲームをしたりする……そう計画していた。

(ここまで来れば、大丈夫だろ)

校舎から、敷地の端っこにある寮の入り口付近まで小走りに帰ってきて、ようやく歩を緩めた。鬼の元担任……リボーンはまだ校舎にいるだろうし、いつも部屋を占拠してくる匣アニマルも別の場所にいるのを確認済みだ。
部屋に閉じこもって鍵をかけてしまえば、自分の休暇を邪魔する者は誰もいない。

(あー、眠いの限界……早く戻ろ)

ベッドへダイブしたら秒で寝落ちる自信があるが、それもまた心地良いだろう、と……ツナは欠伸をしながらも、ウキウキと職員寮の玄関へ足を踏み入れた。

いや、踏み入れようとした……その時だった。

『おやおや、相変わらず間抜けな顔だ』
「っ、は……!?」

突然、近くでバサバサと鳥の羽ばたく音が聞こえたと同時に……呆れたような声が響いたのは。驚いて後ろを振り返ると、ツナの目線のすぐ上方に現れたのは、左右の目の色が違うフクロウ……梟タイプの、匣アニマルで。

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