From flowery bowers

□第6章
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簡単に言えば、講堂の舞台上で演劇や演奏をしたり、何らかのパフォーマンスを見せれば良い、らしい。

二年からは少し選択肢が増えて、舞台発表あるいは展示や模擬店(ただし食品を扱うものを除く)の好きな方を選べるようになる。もしくは両方でも可。

展示部門だとそのままの通り、何か自分達の作品とかを展示して見てもらったり……その他で良くあるのは、教室全体を使った迷路とか、お化け屋敷とかみたいだ。
模擬店の方は、手作りの雑貨やアクセサリーを売ったり、フリーマーケットを開いたりと本当に様々らしい。

三年生になると、そこに食品を扱った模擬店を開けるようになって(ほとんどのクラスがやっぱり食品店を選ぶらしい)、たこ焼き屋やら喫茶店的なものをするんだろう。

後はここに、各部活動や委員会もそれぞれ店を出したり、ゲームやイベントを企画したりするから……想像しただけでも、かなりの規模の行事になりそうだ。

で、さっきも言ったように、一年生は舞台発表をすることが決定してるんだが……

「やっぱり文化祭といえばお芝居だよねっ!」

で、文化委員でもないのにさっきから一人で熱く語ってるコイツは……その、クラスの出し物の実行委員だ。つまり、舞台発表のリーダー的な存在。

正直、髪を染めたり派手に制服を着崩してる奴が多い中で……それと比べれば随分真面目で、大人しそうな見た目と雰囲気の奴だ。髪は黒いし服もまぁちゃんと着てるし、長めの前髪とか眼鏡とか、いかにもクラスに一人はいそうな感じの。

その、普段はあんまり目立たない奴が、

「ねぇ何にする?インパクトの強い喜劇とかドタバタ活劇も良いけど、あえて王道古典モノをマジでやっちゃうのも良いよね!?あぁぁどれにするか迷っちゃうよ!」
「「「………」」」

……コイツ、こんなキャラだったのか?ってクラス全員がポカンとするくらい別人になってた。いつもが大人しいだけに、ギャップが激しすぎるんだが。

「……あの子、確か演劇部なんだよね」
「……なるほど」

隣でチュン太が、呆気に取られながら言う。けど、それを聞いて納得した。

一学期に各部活動の様子を見て回った時に、一回だけ演劇部を覗いたことがあるけど……そう言えば、なかなかに凄かったよな。その、かなり熱い感じが。

一番激しかったのは部長らしき三年生だけど、ソイツに容赦なく指導される部員達も……負けないくらい濃い奴らばっかりだった気がする。

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