From flowery bowers

□第5章
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あの翌日から夏休みに入るまで、鈴木さんや他の庭師メンバーにも変わったところはなかった。ただこっちが事情を知ってしまった(無理やり知らされた)から、どうしても意識しちまうこともあるけど……

……まぁ、鈴木さんなんかは元々ちょっと得体の知れない部分があるから……深く考えないことにした。リボーンはああ言ったけど、俺らただの生徒ができることなんて、どうせほとんどないんだろう。
もしかしたら、単なる口止めであんなことを言ったのかもしれない……だから、もう気にしないでおくことにする。夏休みが明ける頃には、もう忘れてそうだ。

『おっおおおおはよー!?』

……佐藤さんも、相変わらずだった。

肝試し大会をした翌日は、何故かいつにも増して挙動不審だったけど……この人も、その日の気分とかで変わるんだと最近は思うようにしてる。作業も、変わらず彼と一緒になることは少ない……数少ない癒しなんだけどな。

ただ、

『じ、じゃあまた……新学期に、よろしく、ね?』

実家に帰る直前、偶然会えた彼にそんなことを言われたから……まぁ、夏休み後も手伝いはしても良いらしい。鈴木さんからも聞かれたし、放課後の部活動は心配ないな。

(この活動以外、やる気はねぇけど)

ちなみに、実家に帰ったのは夏休みが始まって一週間と少し経った、八月の頭頃だった。寮にいようが家にいようが別段することもねぇし、急いで帰る必要もなかったからだ。
それに、荷物になるのも面倒くさかったから……やたら多い宿題を、その一週間のうちにほぼ終わらせることにしたんだ。自分で言うのも何だが、真面目だと思う。

で、庭の手伝いもしたかったし、いっそのこと帰らなくても良いんじゃないかと思ってたんだが……

『夏休みなのに帰ってこないなんて、何て冷たい息子なの!』

黙ってたら、とうとう母親からの呼び出しを食らって帰ることになった。ゴールデンウィークは面倒くさいから帰ってくるなって言ってたくせに、四ヶ月会わなかっただけで良く分からねぇが寂しくなったらしい。本当に良く分からねぇな……けどそういう母親だ。

どうせ親父が仕事で忙しいのと、姉貴も外出が多いから……要は、喋り相手や都合の良い使いっぱしりが欲しいだけなんだろう。

……どうでも良いが一応言っておくと、俺の家は両親と大学生の姉貴と俺の、ごく平凡な四人家族だ(さばさばした性格の姉貴曰く、両親はかなりの平和ボケ夫婦らしい)。

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