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□とあるアニマル飼育員の日常
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その昔、地球に隕石が落ちました。

そして、割れた隕石の中から謎の模様の描かれた小さな箱がいくつも現れ、さらにその中から謎の生物(後に『匣アニマル』と呼ばれる)が現れて人類を襲いました。

危うく人類は滅んでしまうかと思われましたが、どこからともなく現れた『魔法使い』が匣アニマルをやっつけてくれました。

そんなこんなで、人類は魔法使いに感謝感激の嵐。誰もがこぞって魔法使いに魔法を習い、

その魔法を、ある人は芸に、またある人は商売に、果ては政治にまで使ったりして……

今では、魔法使いの『専門学校』まであるのです。


***


魔法使い養成専門学校『マジック☆ボンゴレ学院』は、数ある魔法学校の中でも名門と名高く、全校生徒総数は一万人近くにもなるすごい所である。

学院には攻撃魔法科、移動魔法科など複数の学科があり、『アニマルマスター科』という全国でも珍しい学科も設けられていた。

『アニマルマスター』とは匣アニマルを扱う魔法使いのことで、『匣アニマル』とは魔法を使う特殊な動物のことだ。

その匣アニマルと心を通じ合わせ、より優れた魔法を習得させて、彼等をいかに使いこなすかを学ぶのが……アニマルマスター科なのである。

そんな、他にはない珍しい学科は施設や設備も特殊で、そこに勤める教職員も、少々……いや、かなり特殊な仕事を請け負うことになるのは当然だった。

これは、その特殊で特別で珍しい学校に勤める、ごく普通の(?)アニマル飼育員の、平凡な(?)日常を描いた話。


***


ピリ、ピリ、ピリ、ピリ……

広大な敷地を誇る学院の一角に建てられた、アニマルマスター科の校舎。その中にある匣アニマル飼育エリアのだだっ広い一室に、規則的だが耳慣れない不思議な音が響いた。

音の正体は、部屋の中央に立つ一人の飼育員が吹く、笛のような道具。これは匣アニマル専用の魔具で、一定の訓練を受けたアニマル複数種に同じ命令を出すことができる。

(あー、ねむ……)

寝癖なのか天然なのか分からないふわふわした髪に、くたびれた作業服。大きな欠伸が出そうになるのを我慢して笛を吹く飼育員、ツナの朝はわりかし早かった。

午前七時。ボンゴレ学院にいる匣アニマルの朝食の時間だ。朝までそれぞれの個室で過ごしていたアニマル達は、ほとんどがこのフロアに集まり朝食を摂る。

笛を吹き始めて少しすると、フロアにある複数の通用口から、ぞろぞろとアニマル達が姿を現した。犬、鳥、ウサギ、牛……大きさも種類も様々な動物が一斉に集まる光景は、なかなかのものである。

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