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□悪霊退散大作戦!
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そして、最後に考えられたのが、
(もしかして……墓地の方へ行ったのか……?)
公園の奥、運動場や道路に面していない方面には、山……と呼べるほど大きくはないが、鬱蒼とした木々の生える小高い丘があり、その向こうに墓地があった。人気がないため、よく小学生が隠れんぼをしたり、肝試しをしたりしている。
夜の墓場へ行くのは普通に怖いし、以前実際に恐ろしい目に遭ったこともあるので気が引けたた。だが、チビ達に何かあっても困るので、ツナは勇気を奮い立たせてそこへ足を踏み入れた。
そこで、見た。誰もいないはずの墓場の奥、大小様々な墓が並ぶその向こうに……人影のようなものを。
(え……)
若い男に見えた。始め、本当にそこに人がいるのかと思った。
けれど、辺りを見渡した後もう一度よく見てみると……誰もいなくて。
(み、見間違い……だよな……?)
夜の墓場という雰囲気が、自分の怖いという気持ちが、余計にそういう勘違いを起こしてしまうのだろう。蒸し暑かったはずなのに、この墓地の辺りは異様に涼しく感じるのも、きっと気のせいだ……怖くなったツナは、ランボ達の名前を呼びながら適当に墓の間を練り歩くと、早々にその場を離れてしまった。
結局、どこで行き違ったのか、ランボ達は公園で遊んでおり……無駄に疲れたり怖い想いをしたりと、ツナにとっては散々な夏祭りとなった。
その夜は、家に着くと早々に眠りに就いた。
墓場でのことは、気のせいだと思うことにした。
あそこに、若い男のような人影が見えたことも。その影が、一瞬……こちらを見たように感じたことも。
***
その次の日からだった。少しずつ、おかしなことが起こり始めたのは。
まず、身体に違和感を覚えた。全身が怠くて、鉛のように重い。
始めは祭りへ行った疲れか、夏バテかと思っていた。だが寝ても休んでも治ることなく、謎の気怠さはどんどん酷くなっていった。
まるで、誰かに伸し掛かられているような感覚だ。
次に、奇妙な声のようなものが聞こえ始めた。家族や友人といる時、一人で過ごしている時、外に出かけている時……ふとした瞬間に、知らない誰かの声が聞こえるのだ。
そこまで低くはないが、男なのか女なのか分からない声音。何を言っているのかも分からない。耳元で、小さく囁かれているような感じだった。
そしてその声は、ツナにしか聞こえないらしい。始めは聞き間違いかと思ったが、それが何度も続くため……勘違いでは済まされなくなった。
しかもこの声が聞こえると、気味が悪いだけではなく、よく分からない感覚が身体に走って……ゾクリとするのだった。