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□白い悪魔にご用心
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ドジでダメダメなサキュバスのツナは、今日も立派な不審者になっていた。

緑の豊かな、だがよく手入れされた広い街道。木々や岩場の陰をコソコソと移動しながら(ただし、ほとんど隠れられていない)、人間の姿に化けたツナが街を目指している。

「……よし、今日はアイツらはいないみたいだな」

彼がこうして身を潜めているのは、そしてキョロキョロと辺りを用心深く見渡しているのは、悪魔のようなエクソシスト達に捕まらないようにするためだった。具体的には、モミアゲの超俺様鬼畜男と、非情極まりない野獣のような絶倫男、そして見た目は爽やかイケメン王子だが実はドSマニアックプレイ男のことである。

見つかれば、速攻で捕まえられて凌辱される。服をひん剥かれ全身を嬲られて、泣こうが気絶しようが構わず犯されてしまうのだ。

サキュバスとしては、強い男達の極上の生気を得られるのは願ったり叶ったりなのだが……いかんせん、あの男達は鬼畜で非情で絶倫過ぎて、ツナには手に負えない代物だった。

そのため、常に隠れるようにして街を渡り歩いては、手頃な獲物を探し何とか餌にありつく、という生活を送っているのだ。

まぁ、それでもあっさりと見つけられる確率が高く、見つかったら最後……自分ではどうしようもないくらい、めちゃくちゃにされてしまうのだが。

そして、最近……またもや悩みの種が増えてしまった。

「アイツも……いないよな。ったく、あの三人の相手だけでも地獄なのに、これ以上厄介な奴が増えてどうするんだよ……」
「うんうん、綱吉クンってば苦労するよねー」
「そうなんだよなぁ……って」

その時だった。思わず声に出た愚痴に、すぐ近くで返事をされたのは。

無意識に反応してしまったが、ハッとして後ろを振り返ると、

「やぁ、綱吉クン♪」
「ぎゃああああっ!?」

目の前に突然現れた男の顔に、ツナは驚いて絶叫した。いつからいたのか、自分の真後ろに長身のイケメンが立っていたのだ。

白く短い髪に、身にまとったローブも白くて荘厳な装いをしている。ただ、服装から聖職者であることは分かるのだが……ニコニコと薄い笑みを浮かべる様子はどこか胡散臭く、どうも神に仕える人間には思えなかった。

「な、な、お前っ……白蘭っ!いつの間に……!?」
「すぐそこで綱吉クンを見かけて、普通にここまで歩いてきたんだけど?」
「う、嘘ぉっ!?」

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