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□気になる彼の二面性
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そのため、力の弱い悪魔のツナではどう頑張っても生気を奪うことはできなかった。彼と周りを強引に引き離すことができればいいのだが、もちろんそんな高度な魔術を使えるはずもなく。

ちなみに、夜はというと……不思議なことに、日が落ちる頃からディーノはどこかへ出かけることが多く、教会やすぐ近くにある彼の家にはいないようだった。どこで何をしているのか、悲しいかな探索する力もないツナにはどうすることもできない。

そのため、彼に残された方法といえば……こうやって人間に化けて近付き、ある程度仲良くなってから、二人きりになる機会をうかがう、という何とも原始的なものだった。地味とかダサいとか言われても、本当にそれしか方法がないのだから仕方がない。

幸いなことに、ディーノは誰にでも気さくに接するが、ツナのことは特に気に入って弟のように可愛がっている(とツナは感じている)。この様子ならば、二人きりになって生気を奪うことも案外簡単なのではないかと思った。

(早く欲しいなぁ)

礼拝が始まり、先ほどまでのドジっぷりはどこへやら、壇上で厳かに式を執り行うディーノを見ながらうっとりとする。もうすぐあの甘くて濃厚な生気が自分のものになると思うと、だらしなく顔が緩むを止められない。

もう少しだ。あの二人の悪魔に無理やり生気を与えられるのではなく、自分で見つけた獲物を自分の力で手に入れる。これこそ、一人前の悪魔ではないか。

……期待と興奮、取り戻されていく自身のプライドに有頂天になっていたツナは、全く気付いていなかった。

自分の力量と、相手が本当は……どういう人間であるのかを。

そして、自分がどれほど運の悪さに恵まれているかということも。


***


ツナの言うチャンスとやらは、思ったよりも早くやって来た。足しげく教会に通ううちに、ディーノの方から遊びに来ないかと誘われたのだ。

それも夕刻の、誰もいない時間帯に。その日は、気の済むまでゆっくりしていっても良いらしい。

大チャンスである。誰にも邪魔されることなく、生気を吸い取ることができるのだ。この機会を逃すわけにはいかなかった。

(やっとだ!やっと……!)

約束の時間に教会を訪れると、ディーノはすでにツナを待っていて、奥にある小部屋へ案内した。普段、教会の関係者以外は入れない場所だ。

ますます好都合だった。そこなら人目もつかないし、声も聞こえないだろう。ちょっとくらい抵抗されても叫ばれても大丈夫なはずだ。

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