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□気になる彼の二面性
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まぁ、確かに二人の生気はツナの飢えをこれ以上なく満たしてくれるし、何なら我慢ができなくなった時はツナの方から行くこともあるのだが……それとこれとは話が別である。とにかく、悪魔としてのなけなしのプライドが許さないのであった。
「…………」
別の木の陰から、再び辺りを確認する。こんな風に、その気はないのに適当に道を歩いているだけでも、どこからか現れてかっ拐われるのだから油断できない。
……リボーンとザンザスを警戒するあまり、他の人間には頓着しないため、コソコソするツナを周りの人々が不思議そうに見ているのだが……本人は気付いていなかった。だからこそ、ダメ悪魔と言われてしまうのだが。
(アイツらに邪魔される訳にはいかないんだ)
ここまでして、ツナが別の街へ行くには大きな理由があった。
それは、
「ディーノさん!」
「お、よく来たなツナ!」
ステンドグラスから差し込む朝日が色鮮やかに、だが柔らかく照らす教会の中に、ツナの明るい声が響く。
キャバッローネというそこそこ大きな町の教会を訪れると、ツナは祭壇で聖書を開く神父の名前を嬉しそうに呼んだ。対する男も、ツナを見て親しげな笑みを向ける。
ただ、顔や雰囲気だけ見ると、その男は到底神父とは思えなかった。輝くような金髪に、男でも見惚れてしまいそうなほど整った顔立ち。
金や銀の糸で装飾された白のローブを身にまとい、爽やかに笑う姿は……神父というよりも、どこかの王子様といった方がしっくりくる。
彼こそが、このキャバッローネに唯一ある教会の神父、ディーノだった。堂々とした佇まいで、だが誰に対してもフランクで良い兄貴分のように接する彼は、町の住人からとても慕われている。
そして、異性からの人気も凄まじいものだった。
それだけでなく、
「最近よく朝の礼拝に参加してるな、偉いぞ」
「は、はい!あ、ディーノさん、足元……!」
ツナが祭壇まで近付くと、ディーノも側へ寄るために前に出ようとする。その時、段差の手前まで来た彼に声をかけたのだが、
「どわぁっ!?」
「わぁっ!でぃ、ディーノさん!?」
ツナの頭を撫でようとしたのか歩きながら手を伸ばしかけて、ディーノは祭壇の段差で思い切り足を踏み外した。受け身を取る暇もなく、べしゃりと床に倒れ込んでしまう。ツナは慌てて駆け寄った。
「だ、大丈夫ですか!?」
「いてて、何でか今日はよく転ぶんだよなぁ」