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□守護霊なんて信じない!
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本人いわく、それが普通の霊と違うポイントらしく、ちょっと力を使えば己を実体化させるのはそこまで難しくないらしい。もう何でもありではないか、とツナは突っ込みたくなる。
そして振りほどこうにも、地味に力が強くてかなわないのだ。なので、いつも好き勝手にされてしまう。
しかもそれは、日に日にエスカレートしていく気がした。
『ふ、サイズは可愛いが……ここは朝から元気だな?』
「だ、誰のせいで……ぎゃっ!ぁっ、触んな……!」
一番デリケートな部分をつかまれて(というか怪しく揉まれて)悲鳴を上げる。朝の生理現象と、ジョットにちょっかいをかけられて反応したそこを今触られるのは非常にまずい。
明らかにいけない刺激が走り抜けて、ツナは身体を震わせた。
「ちょっとツッくん!朝から何を騒いでるのー!」
「ななな何でもないっ!すぐに降りるから!」
ドアの向こうから母親の声がして、慌ててジョットから(奇跡的に)逃れる。
自分以外、ジョットの声は聞こえないし姿も見えないのだ。当然、ツナ一人だけが騒いで変な行動をしているように見られてしまう。
それも、恥ずかしい部分を反応させて、モジモジしている姿なんて見られたら……
(本当に勘弁してくれー!)
慌ててトイレへ駆け込んで、熱が収まるまでやり過ごした。もちろん、当然のように扉をすり抜けて入ってくるジョットに、これ以上変なことをされないよう必死で攻防しながら。
……ごく普通の中学生、ツナの朝の風景は、だいたいこんな感じである。
***
もちろん、勘弁してほしいのは家にいる時だけではない。
『綱吉』
「…………」
守護霊なので、当然ジョットはいつでもどこでも一緒だ。平日に学校へ行く時も、休日に遊びに行く時もそうである。
何が大変かというと、やはりジョットのせいで挙動不審にならないように注意することだろう。
外では、彼に何か言われても極力返事をしない。心の中で会話することもできるが、他のことに集中できなくなるため、ツナはなるべく無視をしていた。
ただ、話さなくとも、すぐ近くに別の存在がいることは変わらない訳で(ジョットは普通に喋りかけてくるし)、どうしても意識して視線が動いたり行動したりしてしまう。幸い(?)昔からオドオドした性格なので、周りもあまり気にしていないかもしれないが。
ジョットも、一応この世の中の事情は理解しているのか、外でそこまで執拗に絡んでくることはない(もちろん全くない訳でもない)。