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□守護霊なんて信じない!
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昔、とある漫画で見たことがある。
主人公には生まれた時から“守護霊”っていう存在が宿っていて、ピンチの時に必ず助けてくれるんだ。初めてその話を読んだ時、純粋に格好いいなぁって思った。
もちろんそれはフィクションで、現実にはそんな非科学的なことあり得ないって分かってた。それに、助けてほしい時に力を貸してくれる存在なんて、そんな都合のいい話があったら堪らない……って、ダメダメで毎日が上手くいってない俺は、余計にひねくれて考えてしまう。
でも、もしも本当にそんなものが存在するのだとしたら……それは、自分にとって大切なパートナーで、何か、やっぱり良いなぁって。
……そう思ってた時期が、俺にもありました。
***
「ん……」
身体に妙な違和感を覚えて、ツナはゆっくりと意識を浮上させた。部屋のカーテンの隙間から太陽の光を感じ、もう朝だということが分かる。
とはいえ、このままもう少し心地好く微睡んでいたいものだが……
(ん……な、んだ……?)
先ほどから身体に走るむず痒い刺激に、逃れるようにモゾモゾと動く。
誰かの手が、自分の胸の辺りに触れているのだ。そこから、くすぐったいような、ゾクゾクとするような感覚が生まれる。
その刺激のせいで下半身がじんわりと暖かく、熱を帯びていくようで……
「ん、ぁ……いゃ、だ……」
さすがに何かがおかしい、と……ゆっくりと瞼を持ち上げた。
すると、
『やっと起きたか、綱吉』
「…………」
『学校に遅刻するぞ』
目の前には、朝日よりも眩しい顔があった。
そして、
「…………」
その人物が、自分のパジャマの前をはだけ、露になった胸元を弄んでいて、
「っっっぎゃああああーっ!」
ごく普通の中学生、沢田綱吉……ツナは、朝っぱらから盛大な悲鳴を上げたのだった。
***
「だからっ、いきなり現れるなって言ってるだろジョット!それに、いつもいつも、へ、変なとこ触るなよっ……!」
『普通に起こしても起きないからな、綱吉は』
「っ、だからって……!」
慌ただしく身支度を整えながら、ツナは当然のように部屋に居座る人物に抗議した。簡素なベッドに優雅に、いやのんびりと腰かける男……ジョットに。
あろうことかこの男、毎朝のようにツナの枕元に現れては、彼にセクハラ……いや、完全なる痴漢行為を行っていた。
「だ、だいたい……幽霊が普通に触れるなんて、メチャクチャな……!」
『何度言えば分かる。俺は幽霊ではなく、守護霊だ』