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□初めての×××!?
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そのほとんどが資料室や倉庫で、普段はあまり馴染みのない場所なのだが……そして窓がないため常に薄暗く、あまり良いイメージがない。
(まぁ、いっか……にしても、今日も残業だろうなー)
ただでさえ仕事が遅いのに、研修や勉強会が入るとその間作業がストップするため、余計に帰りが遅くなるのはお約束だ。ただ、新人のツナにサボりや拒否権もなく……憂鬱に思いながらも、せめてそれまでに少しでも仕事を終わらせようと奮闘するのだった。
その研修が、疑問に思った通り……とんでもないものだとは露知らず。
***
そして、普通の勤務終了時刻の約一時間前。
場所は、人気のない地下フロアの……
「えええええっ!?な、なんっ……何の研修ですかこれー!?」
狭い通路を進み、一番奥にある倉庫の中で……ツナは、すっとんきょうな悲鳴を上げたのだった。ツナの目の前には、数人の男性社員。
そして、その背後……少し離れた所で壁にもたれかかり、こちらを見ているのは、
「おい、早くしろ」
「っ……!」
(な、何でこの人がこんな所に……!?)
予想外の人物の出現に、ツナは完全にパニックになっていたのだった。
約束の時間の五分前に、ツナはエレベーターで地下フロアへ降り立った。エレベーター前が集合場所だったからだ。
そして、薄暗いそこで居心地悪く立っていると、現れたのは恐らく研修担当であろう社員の男が三人。所属は分からなかったが、名乗られることもなかった。
というよりも、ツナは他のことに疑問をもっていた。研修を受けるのが、どうやら自分しかいないらしい。
ツナの同期は、それこそ大人数いるはずなのに……一人も来ていないのだ。
(え、本当に何の研修!?)
戸惑うのも無理はない。だが尋ねられる雰囲気でもなく、ツナは案内されるがまま一番奥の部屋へ入った。一際薄暗く息苦しい感じのするそこに、不安ばかりが募っていく。
(ひ、ひょっとして…いや、まさかそんな……)
咄嗟に浮かんだのは、出来の悪い自分に対する、補習的な研修かもしれない、ということだった。それならばまだいいが、最悪なのは……ダメダメすぎて、焼きを入れられる的な。まだ学生の感覚が抜けきらない、ツナらしい思考だ。
ただ、そんな雰囲気も男達からは感じられないし……頭にクエスチョンを飛ばしたまま、部屋の奥まで進んでみると……
(何だよ、ここ……)
その部屋は、ただの倉庫ではなかった。ごちゃごちゃと物が置いてある所を抜ければ、少し開けたようになっていて……そこに、会社には馴染みのないものが置かれていたのだ。