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□初めての×××!?
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「っ……や、った……!」
“採用”……この二文字を見た瞬間の気持ちを、どう表現したらいいのだろう。いや、恐らく言葉では表すことができないほど、ただ喜びと感動でいっぱいだったはずだ。
超就職難のご時世に加えて、昔から何をやらせてもダメダメな自分。そんな自分が、どれだけ就職活動をしても採用してもらえるはずはなく。
何回も何回も、様々な企業にエントリーしては落とされて、それを繰り返しもう自暴自棄になった……それからの、ようやくの採用通知だった。
奇跡だと思った。その時の自分の喜びようといったら、今までにないほどだっただろう。むしろ、今でも夢なのではないかと思ってしまう。
けど、もう何でも良かった。自分を雇ってくれるなら、どんな会社だって……と、就職活動をしていた時は自暴自棄に、採用が決まった時は有頂天になっていたせいで、その企業がどんな所なのか、というよりもどんな商品を取り扱っているのか……知らないままだった。
普通、自身のエントリーする企業のことは、内定を貰うために死ぬ気で調べようとするものだろうが……理由は、今述べた通りだ。正直、その時の面接がどんなものだったのか、内容さえほとんど覚えていないのだ。
いや、むしろこう考えるべきだったのかもしれない。ダメダメで、これまで不採用ばっかりだった自分が、さらには会社のことをほとんど知らないままエントリーした人間が……あっさり合格を貰えるなんて、その企業は大丈夫なのだろうか、と。
そんなことさえも、浮かれていた自分は……全く考えることもなく。
果たして、
「っっっ何っだよこれぇぇぇ――――――!?」
入社初日から、盛大な悲鳴を上げることになる。
それから……
一ヶ月と、少し経った頃のこと。
***
「――――――沢田くん、前に発売された、このシリーズなんだけど……」
「うわぁっ!」
パソコンの画面とにらめっこをしていたツナは、不意に横からニュッと出てきた物体に、思わず椅子から転げ落ちそうになった。見れば、いつの間にかすぐ隣に立っていたのは、先輩の女性社員で。
そして、その手に握られているのが、
「せ、先輩!いきなりは止めてくださいって!」
「なに?沢田くんてば、まだ慣れないの?」
「あ、あ、当たり前でしょう!こ、こんな……」
派手な色の、明らかに卑猥な形状をした……いわゆる“バイブ”と呼ばれる、大人の玩具だった。