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□A passion
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ツナは、すぐに自分の行動を後悔した。何故なら、袋の中に入っていた、さらにビニールに包まれたその商品は……

(い、色と形と質感がえげつないー!)

キツいピンクとパープルの、ブツブツと大きめのイボがびっしりと付いた、何ともグロテスクな見た目の……いわゆる“バイブ”と呼ばれる大人の玩具だったからだ。

そう、ツナの勤める会社は、大人が夜の営みで楽しむために使う……はっきりと言ってしまえば、様々なアダルトグッズを扱う会社だった。そこまで規模は大きくなく、あらゆる商品の開発から製造、販売までを全て行っている。

ツナが面接を受けた時、この会社が具体的に何を取り扱っているのか、正直分かっていなかった。就活をする人間が、エントリーする会社のことを知らないのも可笑しな話だが、昔から何をやらせてもダメダメなツナが、この就職難の時代の波を上手く掻い潜れる訳もなく……幾度となく入社試験を受けては落とされ、大学卒業間際まで就職先が決まらなかった。

そう何度も挑戦して失敗すれば、人間自棄にもなる訳で。もう自分を受け入れてくれる会社ならどこでもいいと、手当たり次第にエントリーして念願の内定を貰えたのが……この会社だけだったのである。

決まった時は、それはもう天にも舞い上がる勢いで喜んだ。ただ受ける時は自棄に、合格した時は有頂天になり、結局ここがどんな会社なのか……最後まで全く理解していなかったのだ。
よくあるライフスタイルグッズの開発、販売という本当にざっくりとしたことしか知らなかった。

入社して分かったことだが、実はこの会社、大きく分けて二つの製品を扱っており……一つがその、誰もが使えるライフスタイルグッズなのだ。そして、もう一つが……その、いわゆるアダルトグッズで。

言わずもがな、ツナが配属されたのは……夜の方のライフスタイルグッズなのであった。

そのため、全てを知った時はそれはもう驚いたし、あれやこれや想像して真っ赤になったのを覚えている。というか、何故自分がそんな会社に就職することができたのか、いまだに謎である。

「うぅー……行くかー」

持っているだけで少し躊躇われるようなソレと書類を抱え直して、まずは営業部へ向かった。こちらの方がフロアが近いからだ。
というか、先に嫌なことを終わらせてしまいたかったのだ。同じ部署の先輩達は、ツナがそういうのに疎く羞恥心でいっぱいになるのを見るのが好きで、度々こんな言い付けをする。やはりセクハラとしか言いようがない。

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