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□A passion
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「ーーーーーちょっと第二倉庫と、資料室へ行ってきまーす」

お昼休憩の後。ちょうど集中力が切れてきて、だんだん眠くなってくる天気の良い昼下がり。

オフィス街の一角にある、とあるビルの一室で……ツナはいくつかの書類を抱えると、自分のデスクから立ち上がった。
シンプルなシャツ、ジャケットにスラックス。どこにでもいそうな会社員だが、幼い顔立ちと小柄な身体のため、まだ学生のように見える。見た目のせいか、スーツ姿もオフィスにいるのも少し違和感があった。

ツナがこの会社に入って一年と少し。新入社員の初々しさが、まだまだ残っているのも原因である。

「あ、それなら……ついでに、このサンプルを営業の本部へ持っていってくれない?間違って紛れ込んじゃったみたいで」
「えっ……」

ツナが所属しているのは同じ営業部だが、ここから本部は少し離れた場所にある。仕事のスピードが遅く、すぐに疲れてしまうツナにとって、他の部署へちょっと届け物をするなど、いつもは気晴らしになるので地味に嬉しいのだが、

「中身、見る?開発部イチオシの新作。なんなら、試してみてもいいけど?」
「い、いいです!見なくても、試さなくてもいいです……!」
「冗談よ、じゃあお願いね」

イタズラっぽく、少し妖艶な笑みを浮かべた先輩女性社員に、首がもげるのではと思うくらい激しく左右に振って否定するツナ。そして、真っ赤になった顔を隠すためにも、頼まれた荷物を素早く受け取ると転がるように部屋を出た。
ただ、赤面していたのはバレバレだろうし、きっと今頃……他の社員と一緒に笑われているだろう。

(先輩、何てこと言うんだよー!いつものことだけど!)

顔の火照りを冷ますように早足で歩きながら、ツナは憤りつつも諦めたようにため息を吐いた。あそこの中で一番若く、また子どもっぽい見た目のツナは先輩男性社員やお姉様方に好き勝手にオモチャに……いや、可愛がられている。セクハラとも言う。

ダメダメな自分を気にかけてくれたり、世話を焼いてくれるアットホームな部署であるのは助かるのだが……

(でも、これって完全にセクハラだろ!)

押し付けられたサンプル。袋に入っており中は見えにくいが、何であるのかは分かっている。自社製品なのだから当たり前だ。

ただ、決して見たい訳ではないのだが、やはり何となく気になってチラリと中を覗いて、

(う、うわぁ……)

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