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□Which is which?
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それまで浮いていた身体を地に着けると、黒い羽や尻尾が消えていく。耳も丸く、服装もシンプルなものに変わって……誰がどう見ても、ツナは人間の男の子になっていた。
子どもの姿の方が、相手は(特に女性の場合は)油断しやすいだろうと思い、いつもこうなのだが……実際には、力が弱いのでこんな姿にしか変身できない、という方が正しかったりする。
(良いんだよ、上手くいけばそれで!)
「!」
開き直りながら、いつ行こうかとタイミングを見計らっている時だった。教会のドアが開いて、中から参拝者であろう人間がぞろぞろと出てきたのは。
だが、それを見たツナは首を傾げた。
(……女の人、ばっかり?)
何故か、出てきたのは全員女性だったのだ。それも、若い人間が圧倒的に多い。
もしかしたら、女性だけの宗教なのだろうか。しかも彼女達は、教会に来るにはあまり似つかわしくないような着飾った姿で、何故か上機嫌で帰っていく。
そして、誰もが頬を赤らめて……どこかうっとりとしてるように見えた。
「……?まぁいっか」
ただ、少々不思議に思ったものの、空腹でそれどころではないツナはそれ以上深く考えなかった。それよりも、早く行かなければと……女達が全員帰り再び静かになった後、急いで教会へと近付いた。
司祭に会ったら、お祈りさせてもらうか悩みを聞いてもらうフリをして……油断したところを眠らせて、生気を頂いてしまおう、と。
シミュレーションも完璧だ!……いつになくツナは自信満々だった。
「ごくり……」
さて、一体どれほどの美女なのだろうか。顔は、姿は、声は……
緊張でドキドキしながら、しかし期待にワクワクしながら……恐る恐る木の扉をノックした。
「………」
返事はない。聞こえなかったのかな、ともう一度、さっきよりも強く叩いた。
「ご、ごめんくださぁい……」
今度は声もかけてみる。しばらくして、ようやく中の気配が近付いてくるのが分かった。……あの堪らなくなるような、極上の生気の持ち主だ。
そして、木のドアが開かれた瞬間、
「ああああのっ、も、礼拝は終わったと思うんですけど、どうしてもお祈りしたくてーーー」
ツナは、思わずうつむいてそれだけを捲し立てるように言った。緊張やら何やらで、いきなりその人物を見るとこができなかったのだ。
だが、
「ーーーーーあ?」
「へ……」