Main4
□Real intention
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そして、お客様は神様であるその男(ツナにとってはただのエロオヤジ)は、いつもツナにいやらしい衣服を着せては酌をさせ、ベタベタと触りまくってくるのだ。
男の言いなりになって満足させなければ、自分がクビになる。ムカつくし気持ち悪くて嫌なのだが、ツナが逃げ出さずに我慢しているのはこのためだった。
客も仕事も選べないのが、こうも辛いとは。
(全く、あんな奴じゃなくて、もっと……って、何考えてるんだよ俺!)
思わずおかしなことが頭を過りそうになって、ツナは慌てて首を振る。頭に付けた髪飾りがしゃらりと鳴って、ようやく意識が現実に引き戻された。
これからが大変なのだから、ちゃんと覚悟しておかなければ……そうしているうちに、指定されたVIPルームへとたどり着いた。
(なるべく、早く解放されますように……)
ドアの前に立って、もう一度大きくため息を吐く。これからのことを考えると気が滅入るが……観念して、重厚なドアを開けた。
「お待たせいたしまーーーーーっ、ぇ……?」
けれど、やる気もなく適当に挨拶しようとした言葉は途中で途切れて……ツナは、息を詰まらせた。
何故なら、部屋の中に入った瞬間……そのあまりにも違う空気に、本能的に身体が竦んでしまったからだ。
そして、目に飛び込んできたのは……
「ーーーーーよぉ、久しぶりだな」
「っ……!」
でっぷりとした、鼻息の荒い中年オヤジではなく……それこそ息を呑んでしまうような、若く美形の男だった。
それも、一人ではない。
「うわぁ、この前よりもヤラシイ感じ。さすが、良い趣味してるねぇ」
「やっぱり良く似合うな。わざわざオーダーメイドした甲斐があったぜ」
(っ…う、そ……!)
ツナは、目を見開いて驚愕するしかなかった。
部屋の中には、合計六人の男達がいた。豪奢な造りの室内の、中心に置かれたこれまた豪華なソファー。
そこに、思い思いに座っているのが五人。そして、真ん中に座る男の背後に控えて立っているのが一人。
それも、誰もが男女問わず見とれてしまうほどの容姿をした男達で。
「なぁ、お前らもそう思うだろ?」
「……フン」
「………」
愉しげに、気だるげに、堂々と……様々な様子で座る男達だが、ツナを見る目は全員が鋭い。まるで獲物を狙うかのような、奥に得たいの知れない何かを隠しているような……そんな視線だった。