Main4
□A round square
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どんどん息が上がって、酷く乱れていく。狭い車内で、自分の荒い呼吸が聞こえるのではないかと、こんな姿を見られたらどうしようと思うと怖くて仕方がない。
気を抜けば本当に恥ずかしい声を上げてしまうので、我慢するのに必死で抵抗もろくにできないのだ。
(く、そ……!)
好き勝手に嬲られていることも、感じてしまうことも悔しくて……せめてもの反抗に、窓越しに自分に密着する男の顔を睨み付けた。
ツナに痴漢をするのは、いつも同じ男だ。毎日同じ時間の列車に、同じ車両の同じ位置に立っている。並盛よりも前の駅から乗っていて、ツナが降りる学校の駅よりも先に降りていく。
人間、無意識に同じ場所を選んでしまうもので、毎日同じ列車に乗っていれば、いつもいる人間は何となく覚えてしまう。今、真後ろにいる男もそうで、いつもツナが乗り込んだすぐ近くにいるのだ。
それが分かっているのなら、乗る車両を変えたり、別の時間の電車に乗れば良いのだろうが…いかんせん、そこがツナの悪いところで。ただでさえ毎日遅刻ギリギリの電車にしか乗れず、それも出発直前に駅に到着してしまうため……階段を降りてすぐの所にある、この車両にしか乗れないのだ。
(ホント、俺のバカ……!)
痴漢に遭ってるというのに、自分を守るために一本早い電車にさえ乗れないとは……自分の不甲斐なさに、涙が出そうになった。
だが、一番悪いのはやはりこの男なのだ。窓越しに睨んだ男に、さらに怒りが募っていく。
しかし、それがいけなかったらしい。
「っ……!」
キツく睨み付けると、その男と目が合って……その瞬間、相手が微かに笑った。馬鹿にしたような、嘲るかのような笑みだ。
そして次の瞬間、
「っ、ひ……!」
胸を弄られたまま、それまでずっと臀部を撫で回していたもう片方の手が……スラックスのベルトを外し、中へと入り込んできた。もちろん、下着の中へと。
その奥にある自身に触れられた瞬間、ツナの身体が大きく跳ねた。
ツナのそこは、すでに勃ち上がり蜜を溢していたのだ。胸に与えられた刺激だけで。男が握り込み擦り上げれば、下着の中でぐちゅぐちゅと恥ずかしい音がするほど。
その音が周りに聞こえるのではないかと……ツナは恐怖に震え上がった。そして、そこから生まれる耐え難い快感にも。
「ぁ…っ、ぁ……!」
滲んだ先走りを、全体に絡めるように自身を扱かれる。さらに亀頭を指の腹で撫で回されれば、もうツナは男を睨むことなどできなかった。