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□A round square
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ーーーーーああ、嫌だ。

「っ……!」

ーーーーー嫌だ嫌だ嫌だ。

恥ずかしくて、怖くて……気持ち悪くて。

「っ、ぅ……!」

お願いだから、もう止めてほしい。どうか許してほしい。

でないと、

「ーーーーー!」

そうでないと、自分はーーーーー





***


「ーーーーーひぃぃヤバいっ…!乗り遅れるーっ!」

早朝。これから会社や学校へと向かう、サラリーマンや学生が次々に集まるとある駅で。

今まさに、一つのホームから発車しようとしていたある列車に……慌てて階段を駆け降りてきた一人の少年が、閉まる瞬間に文字通り飛び乗った。同時にドアは完全に閉められて、列車がゆっくりと滑るように走り出す。

(良かったぁ…何とか間に合った……)

人でいっぱいの車内に最後に乗ったため、ドアに貼り付くようにして立つことになった少年……ツナは、安心と乱れた呼吸を整えるために、大きく息を吐いた。


ツナは、この春から地元を少し離れた場所にある学校に通う高校一年生だ。最寄りの並盛駅から、電車で数十分ほどの駅で降りる。

入学してから数ヶ月、学校生活にはようやく慣れたツナだったが、

(うぅ、暑い…苦しい……)

多くのサラリーマンや学生で混雑する列車の中で、押し潰されそうになりながら通学するのは、いつまで経っても慣れなかった。しかも、夏が近付き朝でもだんだん気温が高くなってきて……ただでさえ走って身体が火照っているのに、人の熱気と息苦しさで気分が悪くなりそうだ。
車内にはすでにクーラーが入っているため、それがせめてもの救いなのだが……

……だが、ツナが朝の列車が憂鬱に感じるのは、他にも理由があった。

「………!」

ドアの窓から流れる景色を眺めながら、早く着いてほしいと願っていた時だ。自分の身体に、違和感を感じたのは。

それは、満員とはいえ辛うじて動ける隙間がある車内で…不自然なくらい自分に密着する気配。誰かの身体が、手が……自分の身体に触れている。

そして、その違和感に……ツナは覚えがあった。

(っ、また……!)

さりげなく、だが確実に貼り付いてきて、臀部に触れてくる誰かの手。

そう、ツナは……“痴漢”をされていたのだ。

いつからだろうか、ツナが電車の中で痴漢の被害に遭うようになったのは。いや、それは電車通学を始めて間もない頃から……もうずっとだった。

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