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□A monologue
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―――――沢田綱吉は、かなりエロいと思う―――――
人を形容する言葉なんざ山ほどある中で、わざわざそれを選んだのは、
やっぱり、それが一番しっくりくるというか……
アイツに対して、真っ先にそう感じてしまうからだろう―――――
沢田綱吉……通称ツナは、見た目は大人しそうな、弱々しそうな奴だ。実際に臆病で、いつもビクビクしてて……小柄なせいもあってか、ハムスターとかウサギみたいな小動物を思わせる。
成長期に入った同い年の男と並ぶと、本当に小さくて細い。フワフワした薄茶色の髪に大きな瞳、母親譲りの幼い顔立ちで……男だが“可愛い”容姿をしてる。
小さい頃から勉強も運動も苦手(というレベルじゃなく最早壊滅的)らしく、周りからは“ダメツナ”なんて呼ばれてた。そしてそれは、中学生になった今も健在だ。
……ここまで聞くと、ちょっと変わってはいるがそこまで突き抜けて変な奴でもないかもしれない。
ただ……実は、それだけじゃなかったりする。
一部の人間しか知らないが、ツナはとある大層な血筋の人間で、将来結構な地位に就かなければならないかもしれない存在であって……そのせいで、これまで普通とはかけ離れた経験をしたり巻き込まれたりしてきた。
そんなアイツの周りには、アイツを助け支えようとする仲間がたくさんいる。そして、他の奴らには“ダメツナ”なんて呼ばれてるが……アイツが誰よりも優しく思いやりがあって、大切な家族や友人を守ろうとする強い意思と力を持ってることを、仲間は良く知ってた。
……話が少しそれたが、そんなツナを一人の人間として表現するための言葉は、他にもまだまだたくさんある。
けど、俺は…それらを全て知った上で、アイツはどんな奴かと聞かれたら……かなりエロい、と答えるだろう。
そう、ツナはエロくて、やらしくて……相当な淫乱だ、と。
「―――――今日、家に来いよ」
「っ……!」
放課後。教室で帰りの用意をしてる小柄な背中に近付いて、耳元で小さく囁けば……ビックリしたみたいに肩を跳ねさせた後、ツナは頬を真っ赤にした。
それだけで、何を意味してるのか分かったらしい。
(別に、初めてじゃねぇしな)
家には、これまで何度か呼んだことがある。そして、そこではいつも……同じ行為をしてた。
ただ、ツナは……こっちが誘う度に、今のような反応を見せる。初めてじゃねぇのに、大げさなくらいびくついて、真っ赤になって。