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□Special
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対するディーノは、こちらもいつものスーツ姿ではなく、少しラフな格好をしているのだが……滲み出るオーラは、一目見ただけでただ者ではないと感じさせられるものだった。
(ディーノさん、今日も格好良いなぁ……)
女装が似合う自分とは随分な違いだ、とツナは不貞腐れてしまう。
だが、
「ホント、すげぇ可愛い」
「っ……!」
「あ、悪ぃ……まだ、ここじゃ駄目だよな」
嬉しそうに笑って、自然な動きで伸びてきた手に頬を撫でられて……ツナは、一気に頬を真っ赤にしたのだった。しまったと言うようにすぐに離れていくそれに、だが心臓は速く脈打ったままで。
そう、ツナが女装をしてまで、そして人目を避けるようにしてディーノと会うのには……理由がある。
これは、明らかにお忍びだ。それも、外部の人間だけでなく……自分達の仲間や部下にも内緒の。
「よし、とりあえず旨いモン食いに行くか。……ここは、俺が信頼してる奴のホテルだ。安心して良い」
「はいっ」
自然に、流れるように……肩に手を回されて、エスコートされるままに歩き始める。その手付きも、雰囲気も……カップルを装っている、という訳ではなくて。
これは、
「会いたかったぜ、ツナ」
「俺もです、ディーノさん」
明らかに……恋人同士の、逢引きだった。
***
ボンゴレとキャバッローネのトップが恋人同士になったのは、そう昔のことではない。
ただ、ここ最近はどちらも忙しくて、仕事でもなかなか合うことができなかった。
「けど、変装してたにしても……良くばれずに出て来られたよなぁ」
ホテルの最上階にある、夜景が見渡せるバー。落ち着いた雰囲気の店内で、カウンターに並んで座りながら……二人は改めて再会を喜んだ。
「さすがに、皆にはばれると思ったので……早めに休むって言って部屋に引っ込んで、窓から飛んできました」
「ははっ、まぁそうなるよな!」
本当は、今日こうして出会えるのも奇跡的なのだ。ツナが、偶然この街で別のファミリーと対談があって、明日まで滞在する予定だった。
そしてこの街は、ディーノのいるキャバッローネのアジトの近くでもある。こんなチャンスは滅多にないから、と……一晩だけでも、一緒に過ごすことを決めたのだ。
「ディーノさんこそ、出てきて大丈夫だったんですか?」
「俺も、籠もって仕事片付けるって言って、窓からスクーデリアで脱出」
「あはは、それこそ見てみたかったなぁ」