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□歪愛
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それは何故なのか、何故年齢にそぐわない幼い心を持っているのか……その壮絶な過去を、ツナ自身は覚えていない。

いや、ツナだけが……知らないのだ。

「今日は、この辺りで終わりにしましょうか」
「えぇーもう?ツナ、もっとおべんきょうしたいよ」

机に広げていた物を片付け始める獄寺に、ツナは不満そうな顔をする。そこまで勉強は得意ではないのだが……自分の知らないことを教えてもらうのは好きらしい。

「ですが……あまり無理をすると、疲れてしまいますよ」

そんな彼を宥めるように言いつつも……獄寺の目は、先ほどよりも強くツナの姿を捕らえていた。

まるで、何かに注意するような……観察をするような。

すると、

「……やっぱり、ツナもお外にいってみたいなぁ」
「―――――」

それが、一瞬で鋭さを増した。

「だって、外にはツナのしらないものがたくさんあるんでしょう?――ねぇはやと!外はどんなところ?」
「ツナさん……」

だがツナは気付かない。今、自分がどんな目で見られているのか。

ずっと屋敷の中にいれば、そう思うのも当然だろう。ただ純粋に、無邪気に外の世界を夢見ているのだ。

自分に迫る、深く仄暗い何かなど知るはずもなく……

「みんなにもおねがいしてみなきゃ!こんど、ツナもいっしょに外へ――」
「―――ツナさん」
「んっ……!」

楽しそうにはしゃいで、話をしている時だった。それを遮るように名前を呼んで……獄寺が、ツナの唇を自分のそれで塞いだのは。

「んんっ…ん、ぅっ……!」

突然のことに驚く小さな身体を、強く抱き締めて閉じ込める。ふっくらした唇を割って舌を侵入させれば、びくりと肢体が跳ねた。

咄嗟に逃げようとするのも許そうとはしない。やや強引に押さえ付けて口内を掻き回し、舌を捕らえて激しく絡ませる。

「んぅっ、ん…ふ、ぁん…!」
「………」
「ぁっ…んんーっ…!」

敏感すぎるのか、びくびくと反応する少年の唇を丹念に味わう。抱き締めた手はいつの間にか身体中を撫で回していて、ツナはさらに身体を跳ねさせた。

「ふ、ぁ……!」

そして、ようやく解放した時には…先ほどのキラキラとした瞳は潤み、頬を上気させて……とろんとした表情をしていた。呼吸が乱れ、完全に身体の力が抜けてしまっている。

そのぐったりとした身体を……獄寺は、その場に横たえた。

「ツナさん、何度も言っているでしょう……?」
「ぁ……」
「外の世界はとても醜くて、危険だと」

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