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□歪愛
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「……全員集まったか」

闇よりも深い、一切の光も通すことのないような、とある場所。

「良いかお前ら。今から言うことを良く聞けよ」

その中で、闇と同じ漆黒をまとった一人の男は、

「少し、気掛かりなことがある―――」

その空間にいる全ての人間を見渡して、鋭く目を光らせると……重々しく言い放った。


***


並盛町の一角に本拠地を置く“ボンゴレ教団”には、今日も多くの信者が参拝に訪れていた。

外からでは中の様子が見えない、一見何なのかさえも全く分からない巨大な建物。訪れる信者達も、年齢や職業など皆様々で……しかも一番の奇妙なことに、それらは全て男なのである。

一体何を、どんなことをしているのか……その全てが謎だった。

ただ一つ、噂になっているのは……





それらの男達は、一人の“姫”を絶対唯一の存在として……その心身を捧げているという―――――





「……では、ここはどうですか?―――ツナさん」

高い壁と木々に覆われて、外部からは全貌が見えないボンゴレ教団の本拠地。

その巨大な建物に隣接するように建てられた、正面玄関からは最奥にある……離れのような日本家屋の一室で。

「んん、と……」

背の低い机の上に本や筆記用具を並べ、青年に後ろから抱き締められるように座りながら……勉強、だろうか?何かを教えてもらっている一人の少年がいた。

柔らかい薄茶色の髪に大きな瞳。成長途中の小さな身体を、薄い橙色の単衣に包んでいる。

「ん…こう……?」

少年は指示された場所を見てしばらく考えた後、鉛筆で紙に答えを書いていった。

歳は十代半ばだろうが……その仕草や表情は、何故かまだ物心付いたばかりの幼子のようだ。

「はい、そうです。良く出来ましたね」
「えへへ、えらい?ツナ、えらい?」

正解を告げられ優しく頭を撫でられれば、少し不安そうだった表情が緩み笑顔を見せる。その嬉しそうな様子に、後ろから抱き締めていた銀髪の青年……獄寺隼人も柔らかな笑みを浮かべた。

「ええ、ツナさん。とても……」

そう、この幼い少年こそが……ボンゴレ教の象徴であり唯一無二の存在、信者達が“姫”として崇拝する……沢田綱吉だった。

綱吉……ツナは十四歳。ボンゴレ教のトップだが、それは知らされておらず……また、学校にも行かずにずっとこの屋敷の中にいた。

ここで、彼の守護者である教団の幹部に、今のように勉強を教えてもらったり、一緒に遊んだりして……毎日を過ごしているのだ。

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