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□Stimulative
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すると、開けたまま入ろうとしないので疑問に思ったのだろう。男達の中の一人が、ちらりとこちらに視線を向けて、

「何だオメー。そんな所に突っ立って」
「っ……!」

その言葉に、部屋の中にいた男達全員の視線が向けられて、さらに身体が強ばってしまう。

もちろん中には、こちらを見た瞬間に笑顔を見せてくれる者もいたが……

「へぇ、可愛いじゃねぇか。ほら、そんな所にいないで入って来いよ」

もちろん、それにホッとできる訳もない。

そもそも、





(この人達、誰だよおおおおっ!?)





「あはは、確かに似合ってるけど……男の子なのに、そんな格好してるなんてねぇ」
「余興に極上の踊り子を寄越すって言ってたが、テメェみたいなちんちくりんとは面白いじゃねぇか」

そう、只者ではない男達の前に姿を現したのは、

(好きでこんな格好してる訳じゃないっつーの!というか、俺っ……)

極めて露出度の高い、明らかに女性物の衣服を着た……少年だった。

そして、





(何で俺こんな所に入っちゃったのおおおお!?もしかしなくても……部屋間違えてますよねええええっ!?)

そんな、いろんな意味で不幸な少年……沢田綱吉は、心の中でそう叫んだのだった。


***


綱吉……ツナは、この高級クラブの従業員だ。といっても、ドジでおっちょこちょいなため(何故雇ってもらえたのかは永遠の謎である)客前に出ることは絶対になく、厨房やその他の裏側で文字通り雑用として働いていた。

そんなツナは今、制服ではなく……何故か、とんでもない格好をしていた。

布の面積が非常に少なく、申し訳程度に胸元と下半身を隠す女性の下着のようなもの。ただ生地は高価なものなのか、細かい刺繍や飾りの施されたそれは、どこかの民族衣装のようにも見える。

さらに腰元には、下着と同じような模様の、だがそれよりもさらに薄い生地の巻きスカート。ただし腰を覆う布は半分以下な上に、丈は短くふわりと軽い素材のため……少し動くだけで下が見えてしまう。

さらには首元や両腕にも、それらと同じような布地とデザインの装飾を身に付けていた。足元にいたっては、細かいアクセサリーのみでほぼ素足だ。

男である自分が女の格好を、しかもこんなに恥ずかしい衣装を着なければならないのは嫌なのだが……悲しいことに、イタリアの女性よりも身長の低い、また筋肉の付かないほっそりとした身体で、さらに童顔なツナは……実に良く似合って、いや全く違和感がなかった。

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