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□Stimulative
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何の変哲もない、平凡な毎日。

退屈で、つまらなくて……そんな生活には、うんざりする人間もいるだろう。

でも、自分はそれで良かった。別にあっと驚くような出来事とか、いつもと違う刺激的な何かとかが欲しい訳じゃない。

ただ、何事もなく平穏な……そんな日々を過ごしたかっただけで。

そしてそれが、このままずっと続けば良いと―――――





そう、心から―――――確かに願ってたんだ。





***


「……………え」

その部屋に入った瞬間……空気が違うと感じた。

広くて豪奢な造りの部屋。派手すぎない、落ち着いた品の良いシャンデリアに調度品。重厚なカーペット。

部屋の奥には革張りの、素人が見ても高級だと分かる二、三人がけのソファーが、三つ。それが、互いの顔が良く見えるよう扇状に置かれている。

照明の色は、それらを引き立たせるために絶妙な調節がなされて。静かに流れるBGMも、心地好く感じるように響いていた。

一般の人間ならば、入ることを躊躇うような部屋。

だが、空気が違うのは部屋のせいだけではなかった。

「っ、ぁ…ぇ……?」

そこにいる人物が……正確には、その部屋のソファーに腰を掛ける五人の人物達が、尋常ではないオーラを放っていたからだ。

どの男達も高級なスーツに身を包み、女性ならば誰もが見惚れてしまうほど整った容姿をしている。

ある者は優雅に、ある者は気怠げに、またある者は愉しげに……思い思いに座っているだけなのに強烈な存在感を放つ彼らは、絶対に只者ではない。実際、穏やかに笑っていても隙のない鋭い視線、雰囲気は……確実に、一般人のそれとは違っていた。

だがここは、イタリアのとある高級クラブ。世界中の名だたる著名人が多く利用する場所だ。だから彼らのような客が来ても珍しくはないし、最高のサービスをすることができるのだが……

「っ……!」

ただその人物は、重厚なドアを開けて部屋に入りかけた状態で石のように固まってしまっていた。いつものように扉を開けた瞬間に感じた異常な空気、そしてそこにいた人物達を見て……頭の中が真っ白になってしまったのだ。

対して中にいた男達は、部屋に別の人間が入ってきたというのに見向きもしない。自分達以外は格下の、使用人としか思っていないのだろう。
それなのに、こちらの足を竦ませる力を持っているのだから……やはり尋常ではない。

(この人達…危険……!)

その人物がそんなことを思うのも、無理はなかった。

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