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□Black out
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いっそのこと、

このままずっと、深い眠りに就いていられれば良かったのに。

そうすれば、こんな―――……





「……っ、ぅ……」

深く沈み込んでいた意識がゆっくりと浮上して、綱吉は薄らと瞼を上げた。

ぼんやりと瞳に映ったのは見慣れない天井。薄暗くて良く見えないが、そこは馴れ親しんだ自分の部屋ではない。

(どこ、だ…?俺は……)

まだはっきりとしない意識に、自分が今まで何をしていたのかすぐには思い出せなかった。鉛のように重い身体、局部に走るじくじくとした疼きのような痛み。

そして身体の奥にわだかまる、じんわりとした……熱。

いや、もしかしたら……思い出したくないのかもしれない。

だが、

「………?」

(何、だ……)

不意に、自分の身体に良く分からない違和感を感じて……綱吉は、それが何なのかを確認しようとした。
肌を撫でるひんやりとした感覚に、服を着ていないということは分かる。だがその所々に何かがまとわりついているような、締め付けられてるような感覚がするのだ。

「っ……!」

だが起こそうとした身体は、耳障りな金属音によって阻まれてしまった。どうやら、両手を頭上で拘束具のような物に戒められて、寝かされているベッドの上部に繋がれているらしい。

そこで、思い出したくなかった何かが頭をよぎりかけた。そして、

「っ、な……!?」

少し頭を持ち上げたことで見えた自分の姿に……綱吉は驚愕したのだった。何故なら自分は……普通なら、絶対に考えられないような姿をしていたから。

それは……

「……目が覚めたのか」
「っ……!」

だが思わず声を上げそうになるのと、すぐ近くでドアの開く音のするのが同時だった。部屋に響いた低い声音に、綱吉は身体を緊張させ声の主に視線を向ける。

そして、全てを思い出した。


イタリアの巨大マフィア、ボンゴレファミリーの十代目として多忙な日々を送っていた綱吉。そんな中、同盟ファミリーの中でも特に親密な関係を築いていたマフィアのボス……目の前にいるこの男と、二人だけで会談をして。

それから……

「気分はどうだ」
「っ…良い訳、ない……」

それから……捕らえられたのだ。この男に。

それだけでない。男として、最も屈辱的な行為を強要されて。

兄のように慕い、心から信頼していたというのに……あっさりと裏切られ、手酷く蹂躙されてしまった。
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